ハイマースの威力とロシア支配地域でのウクライナ・パルチザン—その後の戦況-(松沢呉一)
ハイマースは強力なゲームチェンジャー
しばらくの間、ウクライナの戦況については触れないようにしていました。
ロシア軍は物量でウクライナ軍を圧倒し、ウクライナ兵士が連日100人死んでいく状態でしたから、触れるに忍びないということもありましたし、ウクライナ軍が劣勢の部分についてはウクライナ軍も公表しないので、正確なことがわからないということもありました。
しかし、ここに来てやってウクライナ軍は反転攻勢に出ていて、米国提供のハイマースを駆使して、50ヶ所以上の弾薬庫を爆破し、ドニプロ川をわたるヘルソンのアントニフスキー橋は19日のハイマースの砲撃により使用できなくなり、26日にさらに砲撃。
https://www.youtube.com/watch?v=NVctIOpDcVk
指揮拠点に対する砲撃では司令官レベルも戦死したとの説もありますが、なにしろハイマースは数十キロ先の目標を狙うものなので、戦果の詳細な確認は難しく、死者の確認は無理。
これによってロシア軍は武器不足を起こし、残った拠点も後退させていて、そのために補給も満足にできなくなっている模様です。ハイマース配備前に支配地域を拡大すべく大量の武器を投下していたのに、思ったほどは成果がなく、そこにハイマースによる爆撃で残り少ない武器までが消失。
間もなくロシアは戦闘不能に
ヘルソンではロシア兵千人が包囲されていて、補給もできず、援軍も送れない状態。
ロシア軍はハイマース8基のうち4基を破壊したと主張してましたが、これは国内向けの噓だったようで、全基稼働中。いつものこと。それに加えて米国はさらに4基を提供するとしています。
英国MI6のムーア長官は「数週間でロシア軍は戦闘を停止することになる」と言っています。これは人員と物資の補給ができなくなるためです。戦闘停止がどのくらい続くかわからないですが、その時こそウクライナはチャンスだと。
こういう情報を鵜呑みにはしなくなってますが、現状のロシア軍の様子からすると、十分ありそうです。もちろん、これは「戦争が終結する」ということではなく、一時的な戦闘不能状態に陥るってことでしかないですけど、ついこの間まで各国の研究機関、諜報機関は「長期化する」「消耗戦になる」と言っていたのに、打って変わってウクライナにとって楽観的な見方になってます。
※2022年7月22日付「ロイター」 この見出しだと、いかにもロシアが負けそうですが、そこまでの話ではなさそうです。
ウクライナのパルチザン
状況が変化したのはハイマースを筆頭に、供与された武器が実戦に投入され、兵士の訓練も終えたということが大きいのですが、それとともにロシア支配地域でパルチザンが奮闘しているとの報道がチラホラ出てています。
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