なぜロシアの将官たちはそうも死ぬのか—名誉の死を利用して士気を上げることもできないロシアの現実-(松沢呉一)
「次々とロシアから人が出ていく様は1930年代のドイツを思わせる—ロシアの支配下では殺されかねないLGBTのウクライナ脱出劇」の続きです。
ロシアの航空連隊副司令官が戦死
お待ちかね、「ロシア将校戦死情報」の時間です。
一昨日報じられていたのは第150機動ライフル師団のオレグ・ミチャエフ少将です。アゾフ連隊が15日にマリウポリで殺害。親ロ派住民の多いドネツィク(ウクライナ語としてはドネツィク、ロシア語ではドネツク)であり、アゾフ連隊の本拠地でもあります。
アゾフ連隊をどう評価するのかという問題はありつつ、ロシアの将校が殺されることに対しては「ざまあ」です。ワケもわからず連れて来られた末端の兵士には心底同情しますが、将校はすべてわかった上で、末端の兵士を殺すつもりで騙しています。一般市民に対する無差別攻撃の命令も出しています。同情の余地なし。
それにしても、ロシアの将校はどんだけ死んでんだよ。と素人の私でも奇妙に感じ、だからここまでこのことを気づくたび取り上げてきたわけですが、玄人もここは疑問に思うところで、いくつかのメディアがオレグ・ミチャエフ戦死を契機に、その疑問に取り組んでいます。それらをまとめておきます。
※2022年3月17日付「BBC NEWS」 日本語の記事ではこれをオススメ。写真はオレグ・ミチャエフ少将
ロシア軍では将官の過剰死が進行中
ウクライナに投入されているロシアの将官は20人いて、3週間でそのうちの4人が戦死。5分の1。戦争がさらに3ヶ月も続けば全滅です。
これは異常と言っていい数字です。通常、将官は後方、つまりは安全地帯で指揮をするのが仕事です。そう簡単に殺されてはならないし、殺されないようになっているはずなのです。
米軍で言えば、2014年にアフガニスタンで陸軍少佐が戦死しているのがベトナム戦争以降の最高位。将官はさらに上位であり、それが短期間に4人も戦死しているのが今回のロシア。
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