フィンランドがロシア国境に設置した塀に対するロシア人の反応—国外脱出したロシア人たちの苦渋[15]-(松沢呉一)
「ロシア人が米国に移住しようとしても、強制送還されるのが関の山—国外脱出したロシア人たちの苦渋[14]」の続きです。
リトアニアの緊迫
ちょっと前に、ワグネルがベラルーシ入りしたことで、ベラルーシと国境を接するポーランドやリトアニアでは緊張が高まっているという話を書きました。
とくにNATO首脳会議が開かれたリトアニアでは以下のような状態に。
そりゃ、ロシアのことですから、NATO首脳会議の会場にミサイルをぶち込みかねないです。
おそらくNATO首脳会議以降もこの状態が維持されているはずです。飛び地であるカリーニングラードがあり、そこにZを出しています。リトアニアの人々に「おまえらの国にも侵攻してやる」という宣言をしているようなものです。ロシアとベラルーシがそこに侵攻することを想定した演習をやっているのですから、気を抜けば必ず侵攻してくる。ベラルーシが、ワグネルにそれをやらせる可能性、あるいはワグネルがそれをやるのを黙認する可能性は否定できないでしょう。
この緊張の高まりは、ロシアやベラルーシと国境を接している国はどこも同じです。中でもNATOに加盟したフィンランドで顕著です。
フィンランド国境に建造された柵についてロシア人が語る
3日ほど前に公開された1420「ロシア人にインタビューしてみた」でフィンランドがロシアとの国境に柵を建設したことについてロシア人に聞いています。
これを観て、フィンランドのこともまとめておく必要があると思いました。
「ソ連に戻れば解決する」と言っているおさっんはCCCPのジャケットを着ているみたいです。筋金入りのソ連支持者。他にも「鉄のカーテンの時代はよかった」と言っているのもいて、だったら、フィンランドが柵を作ったのはいいことでは? 鎖国すればよい。
周辺諸国を支配下に置いたソ連がよかったと言う人たちがゴロゴロいるのがロシアであり、だからプーチンは支持されます。
フィンランドはサタニズム(悪魔崇拝)だと言っているおばちゃんもいて、もうワケがわからんよ。
フィンランドはロシアに侵攻したくて仕方がなく、その衝動を抑えるために柵を作ったとの冗談はちょっと面白かったですが、フィンランドがなぜ柵を作ったのか正確にわかっている人はいないみたい。たぶんロシア国内では正確に報道されていないのでしょう。
国境の柵は不法移民対策のため
ダニイル・オラインが「不法移民対策だ」と言っていて、これが正解。 これまでにもロシアとの国境には木の柵があって、フィンランドからロシアに家畜が逃げるのを防ぐためでした。ところが、昨年の動員令以降、多数のロシア人が国境を超えて不法入国。多くの場合、そのまま不法滞在になります。フィンランドがロシア人観光客を制限したのは、そのまま不法滞在するのがいるためでもありそうです。
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