Ado「unravel」の声—JAL機内の客室乗務員の声・客の声[後編]-(松沢呉一)
「ペットを客室に入れたがる人々の適切な扱い—JAL機内の客室乗務員の声・客の声[前編]」の続きです。
Adoの「unravel」カバー
航空機事故の話からつなげるのはちょっと抵抗があるのですが、前々から言っているように、埋めがたいはずの性差を縮めた女のデスボイスやスクリームは革命的です。
時間が経ってしまいましたが、そんな私としては、Adoの「unravel」カバーに触れないわけにはいきません。
これまで、「unravel」のカバーはいっぱいチェックしています。見つけると、ついクリックします。この曲が好きってこともあるのですが、個性が出やすいので、カバーの楽しみがあります。
この曲のカバーは、再生回数が多い特徴があります。私のような楽しみ方をしている人が多いということもあるでしょうが、TK from凛として時雨のオリジナルMVが公開されるのが遅かったこともあって、カバーに持って行かれたのではなかろうか。
2020年7月23日に公開されたオリジナルMVは4,900万再生回数。
このオリジナルと同程度再生されているカバーがあります。
以下は4,400万再生回数。
2018年公開です。ジョナサン・ヤングは米国のメタル・ミュージシャン。映像と音は別撮りでしょうし、力強すぎますが、メタルの人はおおむねスクリームを難なくクリア。
ジョナサン・ヤングはオリジナルの曲もやってますが、大半は100万再生回数に届いてません。しかし、アニメソングをカバーすると軒並み1千万を超えます。
以下もよくアニメソングをやっているノルウェーのメタル・シンガーpellek。
2014年に公開。早い。3,100万再生回数ですが、メタルなのに、スクリームをやっていないので減点。彼は高音の伸びがとくに素晴らしいので、スクリームよりそちらを効かせたいのでしょう。本人もそこが頼りなので、何を歌ってもいつも同じになる印象です。その結果、この曲の不安定な心細さは表現できてません。
女声の「unravel」
音域的には女声の方が楽ですし、心細さの点でも女声の方がうまい。
VTuberもいっぱいカバーしてます。
ホロメンも数名カバーしていて、もっとも人気があるのは天音かなたです(これはライブからの切り抜きで、他にも切り抜きがあるため、再生回数はそんなに多くないですが)。
握力が強すぎて、なんでも壊す天音かなたですが、肺活量も尋常ではない。肺活量があっても、最小限の息できれいに響かせる発声ができていないと、21秒は続かないです。しかも、ライブですから、これは感嘆します。かなたんに感嘆。韻を踏んでます。
スクリームの部分は別技で魅せる工夫をしているので、そこはいいのですが、後半は混乱と諦めともがきが必要になります。女の歌い手はそこが足りなくなりやすい。
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