松沢呉一のビバノン・ライフ

我がヤリマン論が崩壊した瞬間—福田光睦著『なぜ、私は誰とでも寝てしまうのか』の感想[2]-(松沢呉一)

「ヤリマン界の大谷翔平」は驚異の打率10割!!—福田光睦著『なぜ、私は誰とでも寝てしまうのか』の感想[1]」の続きです。

 

 

我がヤリマン論が崩壊した

 

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5月26日に高円寺パンディットで行われた『なぜ、私は誰とでも寝てしまうのか~令和女性10人のセックス黙示録』発売記念イベントの続きです。

ヤリマン」という言葉は「多数の人とセックスをしている女」という意味しかなく、現実にはさまざまなタイプが存在しています。

そこで、私はかつて、「どこからヤリマンか」という定義付けをした上で、ヤリマンの分類をメルマガでやっていて、それぞれの行動原理を分析してました。その過程を経て、ヤリマンの解釈にはそこそこ自信を抱いていたのですが、なぜ、私は誰とでも寝てしまうのか』のトップバッターであり、ヤリマン界の大谷翔平」との異名をとるチアキの話は、私の理解を超えるものでした。

これによって、私のヤリマン評価は大きく揺らぎました。

いくつかの点で彼女は規格外で、たとえばそのひとつが以下。

 

「凄い上手な人と凄い下手な人ってそんなに変わらない。それはそれとして、“なにがダメなの?”って感じ。”下手なのもセックスの種類のうちの一個じゃん”って」

(略)

「上手くても下手でも、全部好きなんだから。この前“男性器が小さいのは?”って訊かれたんだけど、“何が関係あるの?”って言っちゃったもんね。それで優劣を付けるのは、よっぽどこだわりのある人。まあ世の中のメインはそういう人たちなんだけど、私はそうじゃない。わかるよ、よさは。“上手い人とまたヤりたい”って思うし、“この人下手だな”ってのもわかるけど、じゃあそう言う人と二度とヤらないかっていうとそうではない。『かつぜん』(東京・銀座にあるトンカツの名店)を必要以上に崇めないし、『かつや』(ご存じ人気トンカツチェーン店) を見下さないってことかな。だって、どっちもトンカツじゃない?」

 

彼女はしばしばセックスを食べ物に喩えます。私も時々やりますし、セックスすることを「食う」と表現するように、広く一般に両者の類似は認識されています。

私は全然グルメではないですが、プロの料理人の話を聞いたり、読んだりするのは好きです。客の立場からは見えない部分を知ることで理解が進み、食欲をそそられ、ラーメンでも牛丼でもコンビニ弁当でも美味しくいただけます。また、どんなジャンルでも、プロの心意気、プロの工夫みたいなものを嗅ぎ取れることも満足感を高めます。

プロのヤリマンの話もこれに近い。

 

 

「エスカルゴはサイゼリヤが一番美味しい」と語るミシュラン一つ星レストランのシェフ

 

vivanon_sentenceパンディットの壇上から紹介したのはサイゼリアでバイトするミシュラン一つ星レストラン目黒「ラッセ」のオーナー・シェフである村山太一さんです(その時は名前までは覚えていませんでしたが)。何年か前に、私はこの人のインタビューを読んで感動しました。

読んでない方はぜひ読んでみてください。

 

 

このインタビューに感銘を受けた人、村山太一さんに興味を抱いた人は多いようで、これがきっかけになって、『なぜ星付きシェフの僕がサイゼリヤでバイトするのか? —偏差値37のバカが見つけた必勝法』が発売されています。

 

 

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