松沢呉一のビバノン・ライフ

「日本のアニメキャラは好んで白人を描いている」との的外れな指摘—アニメに詳しくない私がアニメに対する批判に反論する[前編]-(松沢呉一)

 

どうしても観てしまう動物動画

 

vivanon_sentence

「日本のアニメは白人を好んで描く。日本人は白人に憧れている。それに対して黒人が登場することはことは稀だ。差別だ」なんてことを言いたがる人がいます。もっぱら米人です。

彼らがアニメを見て「白人ばかりだ」と感じるのは、「髪の色が黒くない」「肌が白い」「目が大きい」といった点によります。日本人の目は線のように細く、吊り上がっているはずだと。そういう思い込みこそ、どうなんかとも思いますが、相対的に目が小さいことは事実であり、それに比して、アニメのキャラは目が大きい。それは白人化を求めたものなのかどうか。

つい数日前に、「日本のアニメキャラのモデルは白人ではなく、子ネコだ」というショート動画を見て、鋭いと思いました。この話はずいぶん前に提唱されたものらしいのですが、私は知りませんでした。

「鋭い」と言っておいて、「私も同じようなことを考えていた」と続けるのは照れますが、私は「モデルにした」と考えていたわけではなくて、「かわいい」を至上命令とする日本のアニメが、人間が普遍的にかわいいいと感じる造形を取り入れるのは当然であり、「その普遍的かわいさを体現しているのが子ジカだ」と考えてました。

なんで子ジカなのかわからんでしょうが、子ジカの動画が私は好きなのです。

YouTubeに動物の動画が流れてきて、ついクリックしてしまいます。犬猫の動画はそんなに観ないですが、捨てられてボロボロになった犬猫が助けられて、やがて元気になっていく動画は観てしまいます。前に、ベトナムのインチキなアニマル・レスキューの動画について書きましたが、今もベトナム発のインチキ動画をたまに見て、憤慨します。

フクロウやハエトリグモやマーモセットの動画も観ますが、もっとも観てしまうのは子ジカの動画です。

こういうの。

 

 

子ジカが罠にかかっていたり、穴に落ちたり、池に落ちたりしているのを助ける。あるいは、母シカが撃たれたか、車に轢かれたかで、残された子ジカが人間に助けを求めます。自然界は過酷で、怪我をして歩けなくなった子どもを親が捨てることもあります。

人間を恐れることをまだ知らないってこともあるのだと思いますが、シカに限らず、キツネでも、クマでも、親がいなくなって、空腹が限界に達すると、人間を頼ります。とくに子ジカは人間を警戒せず、懐きやすく、イヌやネコなどのペットとも仲良くなりやすい。攻撃性が少ない動物ですから。

上の動画では、子ジカには牛乳でなく、ヤギ乳がいいとしていますが、これは個体差が大きいようで、牛乳を飲むのがいる一方、牛乳でもヤギ乳でも受けつけないのがいて、そういう場合のため、シカ乳の粉乳があるらしいです。といったように、一生役立てることのない知恵が蓄積されていきます。

3時間から4時間に1回乳を与えなければならないので、簡単ではないですが、1ヶ月もすると草や果物を食べられるようになり、やがて森に戻します。

 

 

ディズニーとバンビ

 

vivanon_sentence森に戻すのは、野生動物は自然界に戻すのが当然という考え方もありますし、保護はいいとして、飼うことは法律で禁止されている国もあるでしょう。

しかし、自然界の摂理からすると、子どものうちに死ぬ個体が一定数いることでバランスがとれているのであり、絶滅危惧種を除いて、怪我したシカや溺れたシカは放置していい。そうは言っても、あの姿を見たら、助けますわね。

その場合は、死ぬまで飼い続けて、自然界の個体数を増やさない方がいいのですが、成体のシカを飼うのは難しい。行動範囲が広く、野や山を走り回りますので、広大な土地が必要です。動物園でも狭い檻で飼うことはなく、ちょっとは走れるようになってましょうが、それでもシカの習性から言えば狭すぎて、ストレスが溜まります。

 

 

next_vivanon

(残り 1485文字/全文: 3122文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

会員の方は、ログインしてください。

« 次の記事
前の記事 »