松沢呉一のビバノン・ライフ

「バーニング・サン事件」とKARAク・ハラの死—韓国のポップスに浸ってみた(2)-(松沢呉一)

韓国国内でのK-POPマーケットの縮小—韓国のポップスに浸ってみた(1)」の続きです。

 

 

K-POPの闇「バーニング・サン事件」

 

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前回見たように、韓国ではK-POPが中高生しか聴かないものになってしまったのは「若い世代のテレビ離れ」「同じようなグループ、同じような曲の濫造」「不正操作の刑事事件化」といった理由があります。さらに、K-POPを巡る不正、醜聞、内紛が次から次と起きていて、真っ当な人たちはうんざりしてしまったとの事情もあります。

それまでにもドラッグ絡みの事件、下半身のスキャンダルはありましたが、韓国社会を震撼とさせたのは、2018年の暴行事件を発端とする「バーニング・サン事件」です。

この事件はBBCも大きく取り上げています。

 

 

ソウル江南のクラブ「バーニング・サン」で、男に絡まれている女の客を男の客が守ろうとしたところ、複数の店関係者に集団暴行を受け、警察を呼ぶのですが、警察が肋骨が折れている彼を連行して、警官にも暴行され、後日彼はSNSでこのことを告発。しかし、警察はこれを否定し、店は被害者の彼を告訴。警察も癒着してました。

この店は、BIGBANGのメンバーV.Iが経営し、多数の芸能人や財界人が出入りしていて、ここから、VIPルームで薬物を使用した性的暴行、投資家へのセックス接待などが明らかになっていきます。その様子を撮影した動画が流出し、V.Iは性的暴行の現場を撮った動画を男性アイドルたちと共有していたことが判明。顔は整形できても、クズどもの内面は変えようがなかったようです。

「バーニング・サン」は閉鎖され、所属事務所のYGエンターテインメントはV.Iとの契約を解除、しかし、同事務所経営のクラブでも脱税があったことが明らかになります。

V.Iはいくつもの容疑で懲役1年8ヶ月の判決を受けて収監されました。すでに出獄したV.Iは国外で活動を再開したとの話もあるようですが、韓国での復帰は相当に難しそうです。でも、NHKやTBSだったら、金を積めばなんとかなるかもね。

また、V.I提供の動画を共有していたシンガーのチョン・ジュニョンはそれ以外でも複数の女性との性交渉を盗撮していた件で告訴されていますが、集団レイプ事件で懲役5年の判決が出て現在も収監中。

✴︎WikipediaよりV.I

 

 

BIGBANG終了

 

vivanon_sentence前回確認したように、YGエンターテインメントの代表であるヤン・ヒョンソクは、他事務所の不正操作を告発するなど、業界の健全化を求め、旧来の芸能界体質からの脱皮を目指していたように見えるのですが、所属タレントの私生活をガチガチに管理はせず、そのため、2017年にはメンバーのT.O.Pが薬物使用で起訴され、メンバーがクラブ経営に関与することができるようにしていたことでV.Iは「バーニング・サン事件」を起こして芸能活動が絶望的になり、これに他メンバーの兵役も関わって、K-POPの男性グループを先導してきたBIGBANGの時代は終わりました。

 

 

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