松沢呉一のビバノン・ライフ

中国で日本人の子どもが殺されたのに、日本政府もメディアも危機感が薄くないか?—NHKはすでに中国の傘下に-(松沢呉一)

 

中国深圳で日本人学校に登校途中の児童が殺害された

 

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移住する中国人たち」とは別にやっておきます。

深圳の日本人学校に登校中の10歳の男児が刺されて死亡。

 

 

容疑者は逮捕されていますが、中国政府は動機などの詳細を公表していません。「我が中国共産党の長年にわたる反日教育の成果だ」とは言えないですわね。

中国メディアは、事件についても、入院していた児童が亡くなったことも、淡々と、かつそこそこ詳しく報じています(中国では死亡したことが報じられていないとしている日本のテレビ局がありますが、報じられています。ただし、そこを強調しないようにしているフシはあって、よく読まないと亡くなったとわからない記事も確かにあります)。

しかし、日本で報じられていない「現場はどういう状態だったか」「容疑者を知る人々のコメント」など、中国メディアならではの取材は皆無です。

 

 

なぜより強く警告しなかったのか

 

vivanon_sentence私個人の感想としては、つくづく蘇州市にある日本人学校のスクールバスが襲撃されて、阻止しようとした中国人女性が死亡した事件があった時点で、日本政府は在中国日本人に、家族の帰国推奨を含めた強い警告を出すべきでした。

あの前から外国人を狙う通り魔的犯行が増えていましたし、とくに日本人学校はスパイの拠点とするデマが信じられている中国では、もっとも狙われやすいターゲットの一つですから、今回のことは予見できたはずです(日本政府は日本人学校の警備強化をしたようですが)。

しかし、今回、児童の死亡の報を受けてもなお上川陽子外務大臣は中国政府に邦人の安全確保を要請するのみです。在中国日本国大使館も軽く注意を呼びかけているだけです。

なぜ「在中国邦人は、やむを得ない事情のある場合を除いて帰国すべし」と呼びかけないのか、「当面、中国旅行は控えるように」と呼びかけないのか不思議です。10人くらいの子供が惨殺されないと足りないのか?

政府が警告しないのであれば、メディアが中国の怖さを繰り返すことで、邦人が警戒レベルを高めるようにすべきでした。誰かが言わなくても、当面子どもを帰国させる判断をしてよく、それをしない選択をした以上、必要以上に親に同情をしなくていいとも思いますが、子どもはそんな判断はできないですから、思い切りかわいそうです。

 

 

NHKはすでに陥落か

 

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現実には日本のテレビや新聞が中国の怖さを正しく報道することは期待できません。そのことを確認しておきます。

NHKおはよう日本」は問題ありすぎなTEMUSHEINの社名を出してヨイショをする堕落ぶり。私としては、一中国人スタッフが「魚釣島は中国の領土である」などの発言をした件よりも、TEMU、SHEINの宣伝をやった方が大きな問題だと思ってます。

 

 

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