松沢呉一のビバノン・ライフ

ランドセルの色を誰が選んでいるか—「子どもが好き」と大人が考える色と実際に子どもが好きな色[後編]-(松沢呉一)

「強風オールバック」のランドセル—「子どもが好き」と大人が考える色と実際に子どもが好きな色[前編]」の続きです。

 

 

しげしげとランドセルを見る

 

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2週間ほど前に下校時の小学校の前を通りかかったら、ランドセルを背負った小学生たちが次々と出てきて、「あっ」と思いました。

黒や赤のランドセルももちろんたくさん見かけ、男児のランドセルでもっとも多いのは黒、女児のランドセルでもっとも多いのは赤でしたが、「赤と黒/それ以外」に分類すると、「それ以外」の方が多い。

男女ともに茶系が多く、たしかに革製品と茶色は相性がよいのですが、子どもとしては落ち着きすぎのように思いました。

女子で多かったのは水色です。揃って水色の3人組もいました。青系は男子色というイメージもありますが、水色は女児に合います。また、紫系の女児も何人かいて、薄い紫は大人も子どももイケます。髪の毛を紫に染めたバアちゃんにも合います。

ざっくり赤に含まれますが、もっともシャレていたのは、えんじ色です。女児でしたが、男児でもおかしくない色。私も欲しい。これも子どもっぽくはない。

女児で黒いランドセルを背負っている子がいて、大人だったら黒いバッグは男女ともに好んで使いますから、いざ背負っているのを見ると全然おかしくない。

 

 

ランドセルの進化

 

vivanon_sentence一言で「赤」「黒」と言っても、別の色で縁取りがしてあったり、中央にラインが入っていたり、革ではないらしきテカテカした素材もあって、私の中にあったランドセルのイメージと相当に違っていて、こういった違いがあった方が、間違えることがなく、愛着も沸きそうです。

高学年らしき子らのランドセルが汚れていない点にも注目しました。小学校は北海道で過ごした私からすると信じがたく、学校が終わると河原に投げ出して遊び、冬は雪の中に突っ込んだりしてましたから、小学校高学年のランドセルはたいていボロボロでした。

今も北海道にはそういう子どもたちがいるかもしれず、黒いランドセルの方が汚れが目立たないですから、今も男児は黒いランドセルが多いかもしれません。その点、都市部の小学生は学校帰りに遊ぶことはあまりなさそうです。

ランドセルがきれいなのはカバーをしている子が多いためでもあります。私の子ども時代でも、雨の日のカバーはあったかもしれないですが、今は雨じゃなくても、カバーをつけている子がいます。大事にしているのです。

女子でしたが、汚れやすそうなグレーのランドセルも見ました。実際に使っている子は見なかったですが、ネットの通販を見ると、シルバーや白いランドセルもあります。

✴︎上はモデルロイヤル ナチュール 10パーセント割引で58,410円。色はフレンチライラック。下はナイキ公式ランドセル.88,000円。シルバーです。

 

 

ランドセルに関する調査

 

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イラストやアニメでは赤いランドセル、黒いランドセルが描かれがちなのは記号化しているためで、実際にはがうるぐら白上フブキのような色のランドセルは全然珍しくないことがわかりました。

地域にもよりけり、学校にもよりけりでしょうが、黒や赤が半数を切っているとは思いませんでした。

 

 

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