フランスの卵と日本の土産と中国の偽造商品—日本の卵が優秀なのは衛生管理の徹底だけではない[追加編4]-(松沢呉一)
「中国人も生卵を食べる。ただし、現在の北京で食べるとしたら四合院の住民くらいか—日本の卵が優秀なのは衛生管理の徹底だけではない[追加編3]」の続きです。
フランスの卵
このタイミングで、こんな動画をYouTubeでプッシュされてしまって、このシリーズを終われない。
初めて観たチャンネルです。彼女は落ち着きがなくて、自分を見るかのようです。
EUは衛生基準が厳しいので日本並みに安全と書きましたが、フランスに関して言えばそうでもなさそうです。
高い卵は低温殺菌したものでしょうから(違うかも。備考参照)、生や半熟で食べられますが、赤玉なので生臭い可能性あり。生臭い卵が10個で600円は高いなあ。
でも、生で食べない方がいい国で、卵かけご飯やすき焼きで食べられる卵がひとつ60円だったら、そんなに高くないか。日本では安い卵でも美味しくて生で食べられる幸せを噛み締めましょう。
安い卵は洗浄もしていないようで、「土がついている」と言ってますが、安い卵ですから、外で放し飼いにしているはずがなく、土じゃなくて糞です。
私が子どもの頃、お使いで卵を買いに行くことがありました。コンビニなんてまだなく、卵屋です。はっきりした記憶ではないのですが、小さな店先で、卵だけ売っていました。ケースに入っているのでなく、竹のカゴに入れられていて、そこから10個、紙袋に入れてくれます。
その卵にしばしば糞がついてました。不衛生ではありますが、当時から、生で食べてました。その日の朝か、古くても前の日に採れたものでしょうから、やはり新鮮な卵は生で食べても大丈夫ってことです。
✴︎2022年12月27日付「Femme Actuelle」 このフランスの記事は、今まで書いてきたことに反することが複数書かれてます。とくに妊婦、免疫不全、高齢者にとって生卵は危険としているのは今までと同じですが、推奨まではしないながら、若くて健康な人が産卵後9日まで生で食べてもよさそうです。高い卵は低温殺菌処理をしているのではなく、有機農業の放し飼いの鶏で、新鮮ではあれ、とくに安全性が高いわけではなさそうです(サルモネラ菌を完全排除しているかもしれないですが)。また、冷蔵するのでなく常温保存し、水や石鹸で洗わない方がいいと書いてます。話が違う。日本のように洗浄するのは最悪です。このふたつの注意から類推するに、卵の表面には卵を保護するいわば善玉菌が付着しているということかと思います。正しいのかどうかわからん。
土産を誰のために買うか
生卵や食中毒とは関係ないのですが、中国人に聞いたことで、「へえ」と思ったことがありましたので、ついでに書いておきます。
「日本にいて、中国で違うと思うのは土産です。中国人も土産を買いますが、目的が少し違います。中国では土産は自分のために買います」
日本に来て、サントリーのウイスキーを買い、中国に帰って自分で飲む。お菓子も自分で食べたいものを買う。あるいは、旅の思い出に浸るためにキーホルダーを買う。
似たようなことは、にじさんじかホロライブのEN組の誰かも言ってました。「旅先で買うのは自分のためだ」と。「ロイズのチョコを買ったけど、3日で食べてしまったので、あと3箱くらい買えばよかった」とか言っていて、「土産のチョコを自分で食うんか」と突っ込みたくなります。
おそらく中国が特殊なのではなく、日本が特殊。だから、日本では、観光地でご当地の煎餅や饅頭が売られていますが、そんな光景は他国では見たことがない。どこの国でも土産物はありますが、その地の織物だったり、ガラス工芸品だったり、木彫の人形だったり、衣料品だったり、ポストカードだったり。
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