『すべては君に逢えたから』 -全JR東日本職員感涙!・・・のはずが、からっと忘れさられて悔し涙。東京駅のまわりをうろつくクリスマス映画! (柳下毅一郎) -3,402文字-
監督 本木克英
脚本 橋部敦子
撮影 橋本尚弘
音楽 池頼広
出演 玉木宏、高梨臨、木村文乃、東出昌大、時任三郎、大塚寧々、本田翼、倍賞千恵子
「この冬、最高にロマンティックな、日本を代表するクリスマス映画が誕生!クリスマスの東京駅を舞台に描くラブストーリー」 ……ってなんで「東京駅を舞台に描く」のかって普通気になるよね? 答えは東京駅開業百周年記念企画だから! そういうわけで一日の乗降客数40万人を誇るマンモスステーション東京駅を舞台に描く恋模様!
……というわけでJR東日本の全面的バックアップでお送りする東京駅映画なのだが、たとえばNYのグランド・セントラル・ターミナルならいろんな映画の舞台になっているし、それを東京に置き換えて『恋におちて 』のような……いや『めぐり逢えたら 』のようなロマンチックなラブストーリーを作ればいいんじゃない? ちょうど2014年12月が東京駅開業百周年だし、12月といえばクリスマス!……というわけで例によって誰も止める人がいないままに映画製作に突き進んでしまったとおぼしいのだが、ここでよく考えてみてほしい。グランド・セントラル・ターミナルなら巨大コンコースがあって人と出会うこともできるだろう。だが、日本の駅というのは基本的に人が滞留できるように作られてはいないのだ。「エキナカ」とかいってもみやげもの売ってるだけだし。そういうわけで、がんばって東京駅周辺でドラマを起こせそうな場所をかき集めてみたわけだが、どこまで行っても周辺なわけで、いろんな人が東京駅のまわりをうろつくドラマということに……
主要登場人物は10人で、いくつかの話がオムニバス形式になって、人間関係でゆるやかにつながっている。で、そういう構成ならどこかで偶然の出会いがあって話がつながるのかと思うでしょ? それがまったく無関係で、つながりといっても売れない劇団員と恋に落ちる傲慢な若社長(玉木宏)が余命三ヶ月の新幹線運転士(時任三郎)の嫁の弟だという程度。話もまったくからんでこないまま並行して進んでいく。これなら普通に一話完結のオムニバスにしたほうが良かったのでは。ま、それだと話があまりにつまらなすぎて、即「こんな映画作らなけりゃよかった……」という結論に達してしまうからまずいか。ここでは面倒だからエピソードごとに説明する。
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