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無限の向上心の「源」と「向かう先」【ファイティングイーグルス名古屋・佐土原遼インタビュー(前編)】

今シーズン、広島ドラゴンフライズからファイティングイーグルス名古屋へ加入した佐土原遼選手。

子どもの頃から人一倍練習を積み重ねてきた24歳は、新天地で進化を遂げ、FE名古屋になくてはならない存在になりつつある。

佐土原選手のあくなき向上心は何に起因しているのか。そして、これからどこに向かおうとしているのか。知りたくなって、再び練習場に向かった。

ファイティングイーグルス名古屋 練習レポート

 

Contents

 

「自分たちは十分に戦える」
前半戦で築いた土台が、いまの躍進につながっている

 

──先月、練習を取材させていただいた際、佐土原選手が最後まで残って練習されている姿が非常に印象に残りました。その後、佐土原選手の過去のインタビュー記事をいくつか読ませていただき、子どもの頃から非常に努力家であると知りました。

ファイティングイーグルス名古屋(以下、FE名古屋)への移籍も、成長を求めての決断だったのでしょうか?

佐土原遼選手(以下、佐土原):FE名古屋から「若手の選手を中心にチームを押し上げていきたい。プレータイムは約束できないが、うちに来てくれたら色々なチャレンジをさせてあげられる」と熱心に誘っていただきました。プレーの幅を広げたいと考えている時期だったので、どんなことにも挑戦できる環境を提供していただけることに心を動かされました。実際に今は、自由にプレーさせてもらっている。移籍して良かったと感じています。

──シーズンの序盤は、佐土原選手もチームもやや苦しんだ印象を受けました。

佐土原:チーム編成が大幅に変わりましたし、特に新加入の外国籍選手が環境に慣れるまではチームとしてうまく機能しない部分がありました。前半戦は土台作りにフォーカスして取り組んできたのですが、チームとしての完成度が高くなかったため、競った展開や劣勢を強いられた時にバラバラになってしまって、そこを相手に突かれて負けてしまう展開が多くありました。

大黒柱の(エヴァンス)ルークの不在も大きかったです。ただそれを言い訳にする人は誰もいませんでした。千葉ジェッツなどの強豪チームにも勝っていますし、ルークが帰ってくればもっと強力なチームになると前向きに捉えていました。

──「土台」というのは、主にディフェンスの部分でしょうか。

佐土原:そうですね。うちのチームがメインにしているのが、ディフェンスからファストブレイクに持っていくバスケット。前半戦はディフェンスの部分で一人一人がどう動いたらよいか明確でない部分がありました。誰がどこにヘルプに行くのか、ショウディフェンスにどのタイミングで行くのか、考えながらやっていると、対応が一歩遅れる。そのちょっとしたズレが積み重なって、最終的にシュートを打たれてしまっていました。今は、「この選手はここにヘルプに行くから、空いたスペースを埋めよう」と先回りして動けている。チーム全員が連動して動けるようになってきたので、目指してきたディフェンスの形ができてきた手応えがあります。

一方のオフェンスでは、うちのチームは誰か一人というよりは全員が平均以上のプレーができる。誰かが抑えられたとしても、全員でボールをシェアして他の選手が得点を取ることができます。相手からしたら非常に守りづらいチームだと思います。

──3月は6勝3敗と好調でした。

佐土原:(12月に)ルークが戻ってきて勢いが増しましたし、前半戦でしっかりと土台づくりができたからこそ、後半になって良い形で戦えている。

月、月は上位チームとの対戦が多くて連敗や連敗を経験しました。月の宇都宮ブレックス戦も2連敗でしたが、Game180-81点差で「自分たちは十分に戦える」と証明することができた試合になりました。三遠ネオフェニックスにも、月に対戦した時はボロ負けしましたが、月のホーム戦は競った試合(89-95)ができた。僕は常々「ネガティブになったら負け」だと思っているのですが、チームとしても「俺たちはあそこまで戦えるんだ」と勇気をもらえる試合になりました。その自信が活力となって、佐賀戦以降の連勝という結果につながったと考えています。

僕はプロセスを大事にしていています。自分たちがやるべきことをやって負けた分には何とも思いません。逆に勝てたとしても、やるべきことができていなかった場合、それはダメな試合だと思う。自分たちが何をやらなければならないのかは明確です。それができたら勝てるし、できなかったら負ける。すごくシンプル。だから相手がどうこうというよりは、自分たちがやるべきことをやって勝つ。目指すべきことはそれだけです。

 

2番から4番まで。
新天地でプレーの幅を広げる

──佐土原選手個人としても、2月11日の佐賀戦以降スターターに復帰し、3月6日の大阪戦でキャリアハイの21得点を記録するなど調子が上がってきているように見えます。ご自身ではどう感じていますか?

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