愛知野球通信+

冬の練習訪問⑱ 杜若 編 “高校野球の常識を上回って乗り越える”

冬の練習訪問の18弾として杜若にお邪魔してきました。

杜若はかつて夏のベスト4に何度も進んで、西三河地区では豊田大谷、愛産大三河と共に強豪私学として名を馳せた高校。NPBにも何人も選手が進んでいます。

しかし、近年は低迷期に入ってしまい、部員も新チームで10人くらいしかいないという状況にも陥っていました。そこで立て直しの切り札として同校OBであり“ユウキ”の登録名でNPBで28勝を上げた田中祐貴さんに白羽の矢が立ち、2022年から監督就任となりました。

昨年は、1,2年生中心のチームで夏のベスト8に進出。復活として大きな一歩をしるした形に。
これからさらに躍進が期待されるチームの監督として、どういう考えで選手の育成をしているかなど、詳しくお話を伺いました。

2023年夏

〇7-0一宮商(7回コールド)
〇11-4豊川工科(7回コールド)
〇12-2岩津(6回コールド)
1X-0豊田南

豊田南戦でのサヨナラ勝ちを決めた場面

〇6-0向陽
●1-14中京大中京(5回コールド)

新チーム後のチーム成績

1次

●1-6豊田大谷
〇6-5安城学園
〇5-1豊田北
〇4-0岡崎東

2次

〇7-1碧南工科
〇6-5刈谷北

県大会

〇4-3星城
〇8-0三好(7回コールド)
1-3小牧南

小牧南戦、ピンチでマウンドに集まる

全三河大会

〇5-3豊橋東
●3-7桜丘

1年生大会

〇9-2愛知啓成(7回コールド)
●4-7三好(延長10回タイブレーク)

〇杜若の練習環境・チーム状況について

現在部員は2年生が14人、1年生が30人。新入生も今の1年生と同じくらい入部予定とのこと。
冬場は3勤1休、4勤1休ペースで練習。春以降は基本火曜日が休み。月曜日はリカバリーの日ということで、実戦の反省やミーティング、疲労を取ることが中心に。
今年からは土日に試合に出ていない選手を中心に月曜日は普通に練習をする予定とのことです。

マネージャーは5人。スタッフは常勤で3人。外部コーチが2人で運営。

平日の練習は16時から。20時が完全下校となるので、19時30分くらいを目途に行う。
練習については「終わりの時間は提示するようにしています。それをしないと結局惰性になってしまうので」。

今は寮が無く全選手が通い。田中監督の頃はあったそうですが・・・。「復活してほしいですがなかなか難しい。必然的に選手は豊田を中心に、日進や東郷、豊田寄りの岡崎あたりが入部圏内になってくる。利便性がいいとはいいにくい高校。それでも通える範囲の選手からは入りたいと思えるチームになってきたという実感はあります」と田中監督は語ります。

〇昨年の夏を振り返って

昨年夏のベスト8進出は2008年以来15年ぶり。確実に復活への道しるべとなりました。
ただ田中監督にその話を向けると「もちろん一つ形としてベスト8は残るのでうれしかった。ただ、実際に野球をやっている、見ている人からみれば、実力が上位8つの中に入っていたかというと違うというのは分かると思うので・・・。運の要素も大きかったと思う。ただ、もちろんそこまで必死に選手たちは頑張ってきた。それがあったからそこまでは行けたわけで。トーナメントの特性というのを経験出来たことは大きかったですし、TVや新聞で報道される。それで復活を印象つけられたのはよかった」と冷静に振り返ります。

練習開始時に話をする田中祐貴監督

「ベスト8で対戦したのが中京大中京。正直試合をしていて勝てる要素が1つも感じられなかった。そもそも最初に整列で並んだ時点で身体つきから圧倒された。そこに食らいつけるようにならないと」と感じたそうです。

〇冬トレのテーマ

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