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「固まってきた」(比江島)ブレックス、躍進の予感。狙い通り“ではない”から意味がある<天皇杯>

©️B-CORSAIRS

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ただ、勝ったからではない。『全員で』勝ち取ったからだろう。

横浜ビー・コルセアーズを下し、天皇杯ベスト4に進出した宇都宮ブレックスの面々は充実感と、確かな手ごたえをにじませていた。

 

遠藤祐亮の3連続3Pで先手をつかんだ前半は、終始リードして戦えた。ただ、後半の3Qから開始3分もたたないうちに、4点差まで迫られてしまった。

それでも、タイムアウトで仕切り直し、比江島慎が反撃の狼煙をあげた。そして、その後のことだった——。

 

3Qが始まってから約3分半がたった時点で、グラント・ジェレット、鵤誠司、高島紳司が交代で送り出された。

3Qはスタメンと同じメンバーでスタートするため、選手交代が行われるのが後半開始から6分ほどたってからというチームも多い。ブレックスの今のローテーションのタイミングの早さが表れた場面だった。

今のブレックスは、この試合の1Qもそうだったが、3Qでも、スタメン組からセカンドユニットへの交代が早い。

そして、3Qでは交代選手たちがチームにエナジーをもたらした。なにしろ、彼ら3人の交代出場から4分もたたないうちにリードを15点差まで広げたのだから。それが81-65の勝利につながるキーだった。

 

交代した選手たちが流れを手繰り寄せたように、最近のブレックスは選手のローテーションが実にうまく機能している。

その手ごたえについて佐々HCに問うと、即答した。

「おっしゃる通りです!」

 

早いタイミングで選手交代をするメリットはいくつもある。

1,各選手が連続してコートに立つ時間が短くなり、常にフレッシュな状態でプレーできる。それにより、プレーの強度が高まる。

2,スタメン選手の後に出場する「セカンドユニット」の選手が早いタイミングで試合に出られるようになることで、スタメン以外の選手も高いモチベーションを得られる。

3,特定の選手が長い時間コートに出ることを避けられるため、疲労を原因とするケガのリスクを減らせる。昨シーズンあたりから、過密スケジュールの影響もあってか、Bリーグではケガ人の増加が問題となっている。もちろん、ケガのなかには避けられないものもかなりの割合で存在することは間違いないが、特定の選手の負担を減らすことは、そのリスクを減らすことにつながるはずだ。

 

そうしたメリットがあるのはもちろんなのだが、特筆すべきは、佐々HCがこう話していることだ。

「(この状況はシーズン開幕前の)狙い通りではない」

 

佐々HCはここまでの過程を以下のように振り返っている。

「川崎戦で(鵤)誠司がインフルエンザになってしまって。そこから遠藤をスタートにしてから、遠藤のスタートがよくなっていったり……」

12月の川崎ブレイブサンダース戦では遠藤が鵤の不在を補ってあまりある活躍で力を発揮しただけではなく、宿敵を相手に2連勝をつかんだ。あの2連勝がチームにも、遠藤にも大きな自信を与えたのは言うまでもない。

 

「ギャビン(エドワーズ)が(怪我で)出られなくなったところで、(竹内)公輔の役割(も変わった)。そして、公輔も少し疲れてきたというところで、村岸も使っていくことになって(活躍するようになった)」

12月からギャビン・エドワーズを負傷で欠いているが、シーズン前のコンディション調整から工夫をこらしていた竹内公輔が攻守で奮闘していることに異論はないだろう。

その筆頭である竹内はエドワーズが欠場して一気にプレータイムが伸びてからも、何不自由なく活躍できる理由について、こう話している。

「うちは大体、自主練日とかもあって、そういう時に(ストレングス&コンディショニングコーチの)酒井と一緒に、走り込みだったりをちゃんとやっているので。別に、プレータイムどうこうではなく、自分のコンディションを自分で保つやり方みたいなものはずっと持っています」

 

では、なぜ、「狙い通り“ではない”」ことに意味があるのだろうか?

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