緩いボールを投げる感覚で150㌔を投げる1年生の怪物出現 沖縄尚学・比嘉公也監督(前編)
ノーサイン野球に慌てるそぶりもなく
━━現状で末吉投手が抱える課題を教えてください。
「入学する前はめちゃくちゃコントロールが悪いと聞いていましたが、預かってみると“そんなに悪くないぞ”というのが第一印象でしたね。ただそれ以外はもう目も当てられないというか、フィールディングのスタートとかベースカバーの遅さとか、まあ逆に言うとそこに伸びしろがあるんだろうなとは思うんですけど。そこら辺の部分を、この冬はきっちり伸ばしてあげたいなと思います」
━━決勝戦も今大会ではなかなか出番がなかった投手にチャンスを与えていました。
「先発した2年生の大城陽で3、4回ぐらいは行ってほしかったのが正直なところですね。去年から投げている子なので、彼には今後も鍵になってほしいなと期待しています。九州大会の決勝は2番手でロングリリーフした田場典斗が試合を落ち着かせてくれました。彼は沖縄の決勝でも先発させて、たしか1イニングも持たなかったはずです。そのリベンジにかける思が、ロングリリーフでの好投につながったのかなと思います。沖縄の決勝が終わったあとに、彼には『俺が使い方を間違えた』と素直に謝りました。現状で彼は先発よりも2番手以降の方が力を発揮するタイプなので、その後は今回のような準備をさせていたのです」
━━最後をエースの末吉投手でということは決めていたのですか?
「投げさせずに勝つことができれば越したことはないのですが、完全に勝ちきるためにも最後のイーマン琉海君のところでは迷わず『フルスロットルで行け!』ぐらいの感じで送り出しました」
━━結果的には、決勝戦が同じ沖縄県勢のエナジックスポーツとの戦いになりました。
「相手はノーサイン野球ということですが、やっていることは基本的にあまり変わらないと思っています。しかし、ミスを恐れずに積極的にいろいろ動いてくるところは間違いなくあるので、そこにお付き合いしなければ大丈夫だというのは、沖縄にいる時から感じていました。慌てないことが一番大事だと思っていました」
(後編へつづく)