銭湯制覇と野方ホープ制覇-社会運動における金儲けのモラル(松沢呉一)-2,515文字-
野方ホープの利用法
東京都内の銭湯制覇を目指して、銭湯巡りを続けているわけですが、現在まだ3分の1くらい。200軒少々。制覇まで、あと3年くらいかかりそうです。
もともと別の目的で銭湯に行っていたのに、いつの間にかこんなことになってしまい、これからが大変。銭湯の数がもっとも多い足立区はまだ手付かず、二番目に多い大田区もほとんど残っていて、たかが風呂に行くのに、電車を乗り継いで行かねばならなくなると辛いです。電車の乗り継ぎとレイシストが嫌いなので。
そこで最近は別の用件を無理矢理作る作戦に出ています。「銭湯に行くのが目的ではなく、他の目的のために行くついでに銭湯に寄るだけだ」と自分を騙すわけです。
このところやっているのは野方ホープ巡りです。
※左上/野方本店、右上/原宿店、左下/荻窪店、右下/高田馬場店 野方本店は行ったことがなかったので、先日行ったのですが、臨時休業でやんの
野方ホープが東京レインボーブライドに参加した意義
ラーメンを食べるために遠くまで行くのも億劫ですが、その時は「ラーメンを食べに行くのではない。銭湯に行くついでにラーメンを食うのだ」と自分を騙します。
歳をとるとともにこってりしたものは避ける傾向があって、ラーメンもあっさりした醤油や塩が現在の好み。ラーメン二郎は二度と行けない。野方ホープも今の私には合わないのですよ。
でも、このツイートは泣きました。
企業のオーナーがゲイであることを公開し、レインボープライドに参加することって、これまで聞いたことがない。価値のある一歩かと思います。
レインボープライドの当日も食べようと思っていたのですが、ブースに行ったら品切れで、そのあとも長蛇の列だったため、だったら店舗に食いに行けばいいべ。以来、野方ホープ祭りに私も参加というわけです。行ったら行ったで、スープを飲み干してしまいます。
一昨日は吉祥寺店に行こうと思ったのですが、先に三鷹の銭湯に行ったら湯疲れで吉祥寺に行けず、挫折しました。あと、八王子の銭湯に行くのが億劫なので、八王子にも支店を出して欲しい。
企業がレインボープライドに参加するメリット
野方ホープのブースの混み方から、ざっと計算したところ(いやらしいので「計算すなよ」ってカンジですが)、レインボープライドの2日間で確実に数十万円の粗利が出ています。大成功でしょう。
しかし、宣伝効果はそれ以上。「近くにあったけど、行ったことがなかった」「しばらく行ってなかったので、ひさびさに立ち寄った」「会合のあとで皆で行った」「銭湯に行く動機づくりに利用」といった人たちがいますし、「ここだったら働きやすいかもしれない」とLGBTがスタッフ募集に応じているかもしれない。
金に換算すると、数百万円相当の宣伝効果があったんじゃないでしょうか。ガンガン儲ければいいと思います。
しかし、その一方で、「東京レインボープライドは商業主義が目に余る」といった批判も出ています。野方ホープのことではなく、もっぱら外資系の企業や大手代理店のことですけど、中には学生時代にHIV関連の活動をやってきて、就職先でもゲイであることをオープンにして、レインボープライドの担当をやっている知人もいたりして、これもまた成果であって、一律に商業主義と切り捨てられません。
むしろ、私は金が動くようにならないと世の中は変わらないとも思っています。
ただし…。
(残り 1160文字/全文: 2634文字)
この記事の続きは会員限定です。入会をご検討の方は「ウェブマガジンのご案内」をクリックして内容をご確認ください。
ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。
会員の方は、ログインしてください。
外部サービスアカウントでログイン
Twitterログイン機能終了のお知らせ
Facebookログイン機能終了のお知らせ