下痢注意-台北報告 雑談編4(松沢呉一) -2,159文字-
「台湾の桃色・フランスのローズ-台北報告 雑談編 3」の続きです。
台湾の暖簾
私は提灯ライターであるとともに、暖簾ライターでもあります。どっちも原稿を頼まれたことは一度もありません。
ソウルでも上海、北京でも、客席とトイレの間、客席と厨房の間にかける、間仕切りのための暖簾は存在するのですが、看板暖簾(看板提灯と同じく屋号や取り扱いの品名を文字や絵で記したもの)はまず見ません。台湾でもそうでした。
看板暖簾を使っているとしたら、ほぼ間違いなく日本料理店です。
上の写真は三越百貨店の地下にある富士そば台北支店。演歌は流していませんでした。フードコートなので、立ち食いでもありませんでした。
このフードコートには日本から進出した店がいっぱい入ってます。どの店も、地元の人たちに人気でした。一般に日本の食い物は人気です。
フードコートの真ん中は回転寿司屋になっていて、そこも人気。韓国では回転寿司はあまり広がってないのに対して、中華圏では完全定着って感じです。
普通の市場の中にも寿司屋があったり(写真)、屋台の寿司屋があったり、持ち帰りの寿司屋があったりもして、寿司人気は高いよう。
屋台の寿司屋を覗いたら、魚の種類が少ない分、他の食材でカバーしている印象。色が華やかで、見た目はきれいでした。わざわざ食わなかったですけど。
左の写真は日本人向けの飲食店のようで、暖簾はいいとして、日本風提灯を左右に出すのは違うだろと思うのですが、そこは郷に入れば郷に従うってことで。意識されないまま、その地域に合わせて少しずつ変化をしていくものです。
台北ではひとつだけ日本の店ではない店で看板暖簾と言っていいものを見ました。
私がすっかり気に入った萬華の繁華街に近い南機場で見つけました。10メートル手前から臭い臭豆腐の店です。
富士そばと同じで、店の外に出しているのではなく、カウンターの上に出していますけど、これは看板暖簾です。外から丸見えですし。銀座井村屋本店の暖簾と同じ。昨日、井村屋の前を通りかかったので、書いてみました。
「なぜ看板暖簾は日本だけなのか」については空間認識の違いに基づくというのが私の仮説です。長くなるのでまた今度。
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それにつけても、台湾はメシがうまい。イマイチのものもありましたが、たいていうまい。しかも安い。
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