松沢呉一のビバノン・ライフ

旅はマゾ汁を増量させる-萬華再訪 3-(松沢呉一)-2,550文字-

台北生活の経費-萬華再訪 2」の続きです。

 

 

萬華の住まい

 

vivanon_sentence続いての検討課題は「一ヶ月の間、どこに住むか」です。ホテル住まいか、アパートを借りるのか、誰かんちに居候させてもらうのか。これが萬華生活での最大の出費であり、最大の課題です。

今回は成田を出て帰ってくるまで7日にまたがっていますが、行きも帰りも深夜便のため、萬泊には5泊することになります。

とりあえず、今回はホテルに泊まるしかない。しかし、ホテルの予約なんてしちゃいませんから、入国審査の段階で「どこに泊まるのか」「知らない」「どこかに泊まるでしょうが」「なんも考えてない」と一悶着あって、同じ便で、私一人カウンターに残されてしまいました。

そういえば入国審査の時は、どこに泊まるのかを申告しなきゃいけないんでしたっけね。忘れてたわ。

結局、知り合いのうちに泊まるということにしてパス。その知り合いには今回の台湾行きについて連絡さえしてないですが。

ホテルがどこも満室だったら、街娼のおねえさんに頼み込んで、仕事場にしているアパートに泊めてもらおうと思ってました。60代ともなると客が減ってお茶を引く日が増えるので、通常料金+αを出せば泊めてくれるんじゃないか。知らんけど。

なんでこんないい加減なんだべ、ワシ。

私の書いていることを以前から読んでいる方はご存知のように、私は予定通りに行動することが嫌いで、予定を立てると、自分で予定外の行動をし始めるため、予定を組むだけ無駄であり、時には予定を立てない方が事がスムーズに進みます。

国内旅行でも宿を予約しません。旅は行き当たりばったりが楽しい。その結果、ひどい目に遭うことがあるのですが、それが旅の醍醐味。

 

 

旅の醍醐味スタート

 

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深夜に桃園空港に着いて以降どうするかも一切決めておらず、

空港から台北駅までのバスが深夜でも走っているようなのですが、台北駅から萬華までは、結局タクシーに乗るしかないので、空港からタクシーで直接萬華へ。交通機関は日本よりずっと安く、タクシーは日本の半額くらいの感覚じゃないろうか。

この時は白タクだったので、通常よりさらに安く、萬華まで1,000元でした。3,500円くらい。

成田を出てから、ずっとタバコを吸っていないですから、タクシーに乗る際に「先にタバコを吸いたい」と言ったら、「車の中で吸える」と言います。白タクならでは。

しかし、途中で検問があって、運転手は「タバコを消してくれ」と大慌てです。

検問を通ったあとで教えてくれたのですが、台湾では個人の車の中でもタバコを吸っちゃいけないんですってね。そんなもん無視してみんな吸っているので、警察が罰金徴収する格好のネタになっているのです。

金を使わない生活をするため、住む場合はタクシーは禁止にします。市内はバスも便利らしいのですが、今回はまず地下鉄を覚えよ。私は萬華に興味があるだけで、台湾や台北に興味があるわけではないので、そんなに移動しないと思うんですけど、一応知っておかないと。

今後、深夜に空港に着いたら、バスで台北駅に行き、そこから萬華まで歩きます。地下鉄の駅ふたつ分ですから、40分くらいじゃないですかね。この数日後、実際に歩いてみましたが、わかりやすい道で、もう覚えました。

 

萬華到着

 

vivanon_sentenceタクシーで萬華の龍山寺に着いたのは午前3時台だったかと思います。

寒い。前回寒かった反省から、事前に気温を調べたら、東京より数度は台北の方が高いので、春の気分でTシャツの上に薄いパーカーだけだったのですが、あっちの人たちはまだ冬物で、私のような陽気な人はいません。まーた、失敗したか。

しかも、小雨が降っています。雨がしばらく続くことは天気予報でわかっていたのですが、この季節、台湾北部は雨が降り続くそうです。梅雨みたいなもん。そこまでは知らんかった。しかし、小雨ごときは気にしないです。

台湾最古の寺・龍山寺の大量の提灯が歓迎してくれます。日本にもあるにぎやかしの用法なので、とくに提灯研究として注目すべき点はありませんけど、ものすごい数なので、提灯好きにはたまらんぜよ。

と余裕をかましつつも、こんな深夜に、どうしたらいいのか皆目わかりません。

龍山寺もこの時間は中に入れず、この先を占うためのおみくじを引くこともできない。あー、私はどうしたらいいのだろう。

 

 

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