地域特性と法規制の関係-「闇の女たち」解説編 25(松沢呉一)-2,162文字-
「セックスワークの完全非犯罪化は可能か?-「闇の女たち」解説編 24」の続きです。
答えはまだどこにもない
前回見たMap of Sex Work Lawはいかに各国、セックスワークに対する規制がバラバラであるのかもよく見せてくれています。
フランスの法改正はなお施行されていないためか、この地図には反映されていませんが、今まではD、今後はEなのだと思います。
この分類の上で、さらに各国の特性を分類しています。さらに運用の現実までを見ていくと、国によってすべて違うという結論になろうかと思います。
日本の特性
日本は性的サービスを細分化して法規制し、そのうちの性器の挿入行為のみを売春として禁止する方法をとっており、この地図によると、他にナイジェリアくらいしかこのような売春定義を採用している国はないようです。
その結果、日本においては、性器挿入をしないセックスワークについては、風営法の管理のもとでの営業が合法とされています。ストリップショーについても公然わいせつに抵触しなければ合法的な営業が可能です。
こういう業種でさえも違法とされている国、あるいは飲み屋で同じ席にホステスがつくだけでセックスワークと見なされる国もありますから、そういう国に比べれば日本はまだしも緩い、つまりは部分的、相対的には非犯罪化されているという言い方もできます。
その上でさらに非犯罪化を目指すのであれば、売防法を撤廃すべきですけど、売防法を撤廃するだけで事は済むのかどうか。非犯罪化の動きに水を差すつもりはないのですが、ここは慎重にやっていくべきだと思いますし、そのことをこの地図が教えてくれます。
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