ポルノが陰毛を変えた-毛から世界を見る 10- (松沢呉一) -2,456文字-
「Neon Moonのハミ毛に込められた革新的メッセージ-毛から世界を見る 9」の続きです。
日本はなぜ出遅れたのか
Neon Moonの脇毛とハミ毛について美しくまとまったところで、話は元に戻ります。
そもそもアデル・ラボさんの「お嬢様には毛がおあり」のメッセージ、それを受けてのNeon Moonのメッセージの背景には陰毛までを脱毛・剃毛する社会が存在しています。それらの動きは、脱毛に対するアンチであり、抵抗であることはすでに書いた通り。
フランスでもイギリスでも、若い世代だったら女も男もすでに大半は陰毛がありません。人に見せる機会がない人たちは別にして。
その事実がまだ理解できていない人が多いようなのですが、以降の話も、それを前提としていますので、理解できていない人は検索をするか、海外のエロサイトでも観て世界の陰毛事情を確認してから以下をお読みください。
不思議ですよね。なぜこうも日本ではこれについての認識が広がらず、なお陰毛がボーボーなのか。
これについてFacebookで投稿したところ、各国にいる知人たちが自分も陰毛を剃っているという報告をしてくれましたが、欧米のみならず、中南米からもそういう報告をいただきました。
イスラムでは首から下の毛を剃るのがデフォルトでありますから、アフリカ大陸でも剃っている人がもともと多いとして、今の陰毛除去の動きがどの程度影響しているのかはデータがなくて不明。それ以外で言うと、イスラム圏以外のアジアだけで陰毛はなお保存されているのです。
なぜ十数年程度の短期でそんなことになってしまったのでしょう。そして、なぜアジアは出遅れたのでありましょう。
この謎に取り組んでみたいと思います。
※図版はソ連のサウナ風景。ソ連でもこの時代には脇毛なし。T.u.A.Dobrowoiski撮影。「2nd World Exhibition of Photography」(1968)より。写真自体はもっと古いものだと思うが、記載なし。
陰毛はまずポルノから消えた
脇毛処理が広範に行われるようになった時期は欧米と日本ではそう大きな差はないはずです。ジレットが女性用カミソリを最初に販売した1915年の段階では、日本でも洋装は拡大していて、その段階で日本女性も剃り始めていました。
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