松沢呉一のビバノン・ライフ

蓮舫を支持する(国籍の話に非ず)—いまさらながら金子恵美衆議院議員の公用車問題 2-(松沢呉一) -2,776文字-

おさらい—いまさらながら金子恵美衆議院議員の公用車問題 1」の続きです。

 

 

 

蓮舫を支持する

 

vivanon_sentenceこの件については民進党の蓮舫を支持します。

 

 

支持できるのはとくに前半です。

 

公用車で子どもを保育園に送迎。

「運用ルール上問題ない」と言い切る考えに全く共鳴も、理解もできません。

議員会館にある保育園。ならば、会館まで自力で行き、そこから公用車で総務省に出勤すれば済む話です。公私混同の感覚が絶対的に欠如してます。

Facebookより

 

「自力」というと、「這ってでも行け」と言っているようですが、公用車を使えない多くの議員と同じく、自家用車を使うか、タクシーやハイヤーを使えばいいってことです。自転車でもバイクでも徒歩でもいいし、這って行くのも勝手ですけど。

保育所への送迎と東京駅へ送っていったこととを切り分けて後者をダメだとした橋下徹の意見も理解はできますし、東国原英夫の「今回の論点は、子育て論では無い」という指摘も支持できます。しかし、今回は他の話でタイムリーな蓮舫を前面に出しておきました。

以下、しばらくは、それらの人々の書いていることとさして変わらず、次回からが私の本領。

 

 

お話にならない擁護論

 

vivanon_sentence的確にこの問題をとらえている人たちがいる一方で、金子議員に同調した人たちがいっぱいいます。具体的に見てみましょう。

タレントで医師の友利新のブログ「保育所送迎に公用車は問題?」より

 

ただ、もし公用車で送迎できなければ、どう子供を送り迎えするとこの記事を書いた記者は考えたのでしょう。

もう一台わざわざ自家用車を出し、家族に運転させて、親子別行動で送り届けるのでしょうか?

それとも、一旦公用車で自宅に帰って、自家用車に乗り換え、子供を送り、また自宅に帰って、公用車に乗り換え、議員会館に行けというのでしょうか?

公私混同という意味では、厳密には正論かもしれません。でも、いつから日本はそんな極端な社会になったのでしょうか。

 

何を言っているんだ、この人。お話になりません。

公用車を使えない大半の議員たちに子どもがいた場合にどうしているのか考えればいいだけでしょうに。自身が公用車を利用することで、子どもと別行動になることを避けたいなら、公用車の利用をしなければいいんです。それとも「公用車を使えない議員たちは、子育てもできない不当な環境に置かれている」とでも言うのでしょうか。「子育てをするすべての母親に公用車を」ってか。

この人の中では「政治家は必ず公用車を使わなければならない」というルールになっているのかな。ワケわからんです。

このブログを知ったのは、ハフポストが無批判に取り上げていたためで、内容を吟味してから取り上げた方がいいと思うなあ。

この人に限らず、なんで公用車を使えるわけでもない人たちが、自分に引きつけて考えるんですかね。「庶民感情」としては、むしろ「公用車なんて廃止しろ」でしょうに。そもそも公用車が存在しなければ、こんな問題は起きないんですから。

いつもの通り、「海外では」「ヨーロッパでは」「北欧では」なんてことを言っている人たちもいそうですけど、それらの国では公用車があるのか? ある国もあるでしょうけど、ない国を持ち出しても意味ないですし、公用車で子どもを送り迎えすることができるようになっている国があって、それがいいのなら、日本でもルールを改正すればいい。誰の仕事ですか? 政治家でしょ。その役割を果たさずにルール違反をやったのは誰ですか? 金子議員です。怠慢の上にルール違反。救いようがないじゃないですか。

しかも、母親を東京駅に送っていったことを無視してはいかんな。

 

 

公用車はそれ自体が特権

 

vivanon_sentence都民ファーストも都政における公用車の廃止を公約にしていたのは御存知の通り。その流れからしても、使用しないのは妥当であり、ルールを超えて利用することは特権の悪用でしかないでしょう。

私はわりと政治家にかかる金については鷹揚でありまして、「金を使っていいので国民のために仕事しろ」と思っており、個別の事情によって(警備をつけることに比して、その方が手間がかからない、あるいは経費がかからないという判断ができる場合など)、公用車はあっていいのではないかとも思いますけど、乱用する政治家とそれを容認する糞世論を見ると、「だったら、すべやめてしまえ」と思えてきて、都民ファーストの支持者になってしまいそうです。

 

 

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