松沢呉一のビバノン・ライフ

モーニング娘。はなぜ風俗嬢か—芸能人たちの特性を分類する-[ビバノン循環湯 369] (松沢呉一)-4,567文字-

これからの世代に期待しましょう—私立の女子大は消滅へ(下)」にオールナイトフジが出てきました。音楽業界時代は、あの番組をよく観てました。土曜日もたいてい仕事で、帰宅するのは夜遅くだったため、深夜番組しか観られない。周りも似た環境で仕事をしてますから、あの番組を観ているのが多くて、よく「誰が好きか」なんて話をしたり、レコード会社やテレビ業界の人から聴いた番組の裏話を語り合っていました。放送されていた頃は原稿を書く機会はほとんどなかったのですが、その後、オールナイターズについて書いたものがなんかあったはずだと思って検索したら、しょうもないことしか書いてませんでした。その中から一本循環しておきます。これもしょうもない内容なのですけど、水商売と性風俗で働く層の違いをほどよく説明したものです。2000年にネットで書いたものですから、当然内容が古くなってますが、ちょっと前に出てきた野村沙知代も登場。今のテレビに出ている人たちもこういう分類ができそうです。今はテレビを観ないので、私にはできないですが。

 

 

 

モー娘。とSPEEDの違い

 

vivanon_sentenceモーニング娘。って、風俗嬢のグループかとつい思ってしまう。どのメンバーがどの店にいるかまで言えそうな気がするくらいに、私にとっては風俗嬢である。知り合いの風俗嬢らに言ったら、彼女らも「言えてる」と納得していた。

なぜモーニング娘。が風俗嬢の雰囲気を漂わせているかなんだが、要するにわりとどこにでもいる女の子たちなわけだ。それが集団でいると、どうしても風俗誌の名鑑や「まるごと一軒」のページを思い出させてしまうんである。

でも、同じくグループでも、SPEEDはそういうイメージがまったくない。あんなお店があったら児童福祉法で即摘発である。それと、SPEEDは、もう少し「選ばれた感」、言い換えるとスター性みたいなもんが感じられる。歌も踊りも鍛えられた印象を醸し出しているのだ。

モーニング娘。だって選別された上で、プロになるための訓練がなされているのだろうが、それを感じさせない。そのため、見た目も話し方も踊りも即成である印象を拭えず、あか抜けなさが漂う素人感がある。また、抜きん出たキャラがなくて、そのくせ統一感もない。ファンはその素人臭さに身近な存在を見出してハマっていくんだろうが、ここが「まるごと一軒」的なのである。

こういった風俗嬢イメージが彼女たちの人気の秘密でもあって、つんく店長の手腕なんだろう。つんくはホストに通じるセンスがあるから、客の求めるものをよくわかっている。

 

 

オールナイターズはキャバ嬢

 

vivanon_sentence 80年代の半ば、フジテレビの「オールナイトフジ」から生まれたオールナイターズもきっと同じような素人性があったんだろうが、その頃の私は全然風俗に詳しくなかったので、オールナイターズが女子大生風俗嬢に見えるかどうか考えたこともなかった。仮に風俗に詳しかったとしても、当時はまだまだ風俗嬢と非風俗嬢との間の垣根が高くて、そういうイメージの直結はできにくかったと思う。顔出しできるのが少なかったため、風俗誌にも「まるごと一軒」みたいなページはなかったし。

その点、現在のTBS深夜に出ているワンギャルたちは、オールナイターズと似て非なるところがあって、見た目が、よくも悪くも洗練されている分、風俗嬢の親しみやすさがなく、私にはつまらない。

実際にはどんな女たちかよくわからないんだが、如才なく人の相手はできそうだから、一緒に酒飲んでその場限りで盛り上がるのはいいとして、個人的に会っても、さほど面白みがないのではないかとの気がしてならず、あれはキャバクラ嬢集団である。

MAXはキャバクラというよりクラブホステスであろう。人数が少ないこともあって。

優香飯島直子などのグラビア系はみんなキャバクラ。ただし、見た目から漂う雰囲気がキャバクラ嬢であるだけで、はっきりしながらあっさりした彼女らの裏表のない性格は風俗向きでもあって、事実、ああいうタイプもヘルスや性感にはいる。キャバクラ嬢になったはいいが、どうもノリが合わず、人間関係や営業活動が面倒で性風俗店に移籍してきたタイプである。

このところ、人気のある女の芸能人って、内面はともかく、雰囲気はキャバクラ系が多かった。その空白部分にモーニング娘。はうまく入り込んだ。いつの時代も求められる風俗嬢テイストの逆襲が始まったのである。

 

 

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