女子工業高校と男子短大—男女別学は差別か?[4]-(松沢呉一)-2,640文字-
「それでも男女別学の学校は存在していい—男女別学は差別か?[3]」の続きです。
郡山にあった女子工業高校
Facebookで教えられたのですが、かつて福島県郡山市には女子の工業高校がありました。
1964年に女子工業高等学校として創立し、翌年、日本女子工業高等学校に改称。1974年には普通科を併設、1990年に一部男子を受け入れて尚志高等学校に。1997年に完全共学化。女子工業高校だったのは10年間ですが、女子工業科の時代を含めると30年以上、日本で初にして唯一の存在だったわけです。
弱い分野で女子を育て、男子に負けない人材を送り出す。
広く一般に、女子高が、男女の役割分担を壊すために存在しているんだったら、女子工業高校はどうしてこれ以外に存在してこなかったんですかね。どうして短大や女子大は今でも家政学と文学と語学が強いんですかね。どうして女子大の理系は少なく、一部にいるあるとしても理学系ばかりで工学系がないんですかね。どうして法学部は京都女子大にしかないんですかね。
今まで気づいていなかったんだったら、「機会均等のために女子高や女子大が存在している」なんて幻想は成立しないとわかった以上、今からでもそれらの学校に「差別をやめろ」「憲法違反だ」と抗議をしてください。
私はそれぞれの学校の判断であり、生徒の選択ですから、それを尊重しつつ、内心、「早く潰れればいいのに。ただし、偏差値高い系の女子校と日本女子体育大学は除く」と願うだけです。オリンピックで男女の枠が消える日まで、日本女子体育大学だけは差異主義として存在する価値があります。それほどではないですけど、女子美と女子医と京都女子大もまああっていいんじゃないですかね。
というのは私の感覚に過ぎず、現実にそれぞれの学校にはそれぞれの学校の判断というのがあって、それをそれぞれの勝手な感覚で決めつけて、「ここはいい、ここはダメ」なんてやっても意味ないでしょ。だから、定員については学校が決定し、生徒がそれを事前にわかっていればいいというルールになっていることは合理的なのです。
別学が存在するのは、格差是正という目的に合致しているからではなく、それを決定するのは学校。選択するのは生徒というルールに合致しているから存在していることを尊重した方がいいと思います。
※日本女子工業高校開校5年目の空撮。えれえ敷地が広い。尚志高等学校のサイトより
東洋食品工業短期大学は10年前まで男子短大
一方で、男子校があってもいいし、男子大もあっていいわけです。
事実、兵庫県にある東洋食品工業短期大学は創立した1961年から2008年まで男子短大だったんですっすてよ。
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