独シュピーゲル誌の捏造記事問題と白バラのつながり—バラの色は白だけではない[11]-(松沢呉一)
「ショル兄妹の神格化による弊害—バラの色は白だけではない[10]」の続きです。
独シュピーゲル誌の捏造問題
今まで全然知らなかったのですが、昨年暮れ、ドイツの「シュピーゲル」誌の記者が7年間にわたって捏造記事を書いていたことが大問題に。
何度も賞をとっている同誌の若手花形記者であるクラース・レロティウス(Claas Relotius)が書く記事に、ユアン・モレノ(Juan Moreno)という同僚記者が疑いを抱いて調べたところ、取材したはずの相手に取材していなかったことが判明します。
クラース・レロティウスはそれを認めて辞職し(上の記事タイトルにあるような解雇ではないよう)、賞は取り消しになり、過去の記事の検証によって、60本書いた記事のうち、少なくとも14本の記事に問題があったことが判明します(この60本はシリーズものの記事で、それ以外にも多数の記事を執筆していて、そちらにも同様の問題があったことはすでに指摘されています)。
なにしろドイツ語ですから、正確に把握することは困難ですが、ざっと見たところ、すべてが大問題になるようなものではありません。しかし、この本数は、60本のうちの半数を検証した段階のものです。つまり検証が済んだ原稿の半数近くになにかしらの問題があって、今現在でも第三者機関による検証は続いているので、さらに数字は増えているはずですが、今のところ、続報は出ていないようです。
編集部はまったく気づいていなかったと弁明していたのですが、クラース・レロティウスが書いた記事に対して、以前から「おかしい」という指摘があったにもかかわらず、編集部が無視していた事実も明らかになって、いよいよ編集部は窮地に。
さらには彼がトルコの孤児への寄付を募り、それに応じた読者からの寄付金を個人口座に入れていたとの疑いが浮上。7000ユーロということなので、日本円で100万円くらい。どうやらその金はいったんは自分の口座に入れたのちに、全額寄付されていたようです。疑われるような方法をとるなということではあっても、こちらの疑いは晴れたようでありますが、ドイツ語ですから、本当にそうなのかどうかわからん。
「シュピーゲル」は彼を刑事告訴するだか、しただかとも報じられています。民事ならわかりますが、捏造記事って、なんの罪になるんだろ。会社に対するギャラの詐取になるんですかね。
あとは裁判と検証委員会の報告書待ちってところです。はっきりした段階で懲戒解雇でしょう。
白バラとなんの関係があるのかってことですが、問題になった14本の記事のひとつが今なお生きている白バラ・メンバーのインタビュー記事でした。よりによって。
「シュピーゲル」の適切な措置のおかげで知った事実
「シュピーゲル」誌の捏造記事問題に気づいたのは、白バラ・メンバーのインタビュー記事を読むために「シュピーゲル」のページを開いたら、注釈がついていたのがきっかけです。
自動翻訳だと、何を言うとるのかわかりませんが、改めて検索してやっとわかりました。
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