ラッパーのパブロ・ハーゼル(Pablo Hasél)収監で火がついたカタルーニャ—ポストコロナのプロテスト[127]-(松沢呉一)
「ハイチのようなエリアがコロナで増えていくかもしれない危惧—ポストコロナのプロテスト[126]」の続きです。
パブロ・ハーゼルの収監とプロテストの勃発
ハイチの60年にわたる混乱の歴史を遡ることに時間を費やして、うんざりしてしまっている間に、スペインが大荒れです。
スペインではしばしばアンチ・ロックダウンのプロテストが荒れてましたが、ここに来てカタルーニャ(Catalunya)地方を中心に別テーマで荒れてます。
2月17日のバルセロナ(Barcelona)。
まず旗の説明。冒頭に出てくる赤と黄色に横縞に星が入った旗はカタルーニャの旗で、とくに独立派が好んで出します。カタルーニャ独立旗は二種あって、ここに出ているのは左派の独立旗。
はっきりとは見えにくいですが、赤と黄色の紫の旗はフランコ(Francisco Franco)の独裁が始まる前のスペイン共和国(SegundaRepública Española)の国旗です。反ファシズム旗であり、王制を倒したあとの共和制時代を支持するということですから、1975年に復活した王制否定の旗でもあります。あとでもっとよくわかる動画が出てきます。
ところで、フランシスコ・フランコって名前はチェコだったら大爆笑です。
今回のプロテストはラッパーのパブロ・ハーゼル(Pablo Hasél)ことパブロ・デュロ(Pablo Rivadulla Duró)が2月16日に収監されたのを受けてのものです。
その直前に出した曲。
カッコいいな。歌詞はこちらに出てます。
冒頭に出ているのは国王のフェリペ6世(Felipe VI)。民主主義にとって表現の自由は不可欠であると言ってます。父親である前国王フアン・カルロス1世(Juan Carlos I)がパブロ・ハーゼル逮捕の一因にもなっていて、その息子がそれに異を唱えているわけです(そのように見せたってことでしょうが)。
ここに使われている映像は、予め収監が予想されていたために起きていたプロテストです。アンティファのマークが見えます。歌詞にもフランコの名前が出ているように、スペインにおける反ファシズムはフランコなきあともその亡霊と闘い続けています。
国際的に高まるスペインへの批判
この件を簡単にまとめるなら、政府と王室を激しく批判するラッパーがその舌鋒の鋭さゆえに弾圧を食らったという話であり、ドラコニアン(draconian)とも表現されています(スペイン語ではdraconianoですが、国外メディアがそう報じています)。
古代ローマの厳格な執政官ドラコン(Dracon)に由来して「極めて厳格な」という意味の言葉です。3日前に知りました。スペインの表現規制はドラコニアン法(draconian law)であると。
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