松沢呉一のビバノン・ライフ

土屋美和都議は崖っぷち、なのに小池百合子都知事は—政治家による学歴詐称[下]-(松沢呉一)

国交断絶をもたらしたアルジェリアの山火事とドイツの総選挙を左右する環境問題—政治家による学歴詐称[上]」の続きです。

 

 

 

土屋美和と木下富美子の崖っぷち都議会議員コンビ

 

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前回はドイツ緑の党のアンナレーナ・ベアボック党首は、ハッタリがバレて首相の座を逃した可能性が高いという話でした。

著書の盗用疑惑については、モロのコピーじゃない限り、裁判にならないとはっきりした結果は出にくく、グレーのパクリは悪意なくやってしまうことも多いため、そうも問題視するようなものではない気もしますが、緑の党は研究者出身が多く、知的イメージがあるだけに、この件でのダメージは大きかったのだと推測します。首相候補ですしね。

それにもまして政治家の経歴詐称はアウトです。

日本においても公選法に抵触するような経歴詐称をやったらすぐさま議員資格剥奪でいいし、二度と浮上できなくていい。こちらは「うっかりしていた」なんてことはなく、意図して嘘をついたことは明らかです。ベアボック党首が、博士論文を出したと勘違いしていたなんてことはあり得ないでしょう。

当選から一ヶ月もしないで「週刊文春」が学歴詐称疑惑をスクープした都議会議員の土屋美和も限りなくアウトです。

 

 

Twitterより

 

「週刊文春」は彼女が告示前のビラに掲載していたニューヨーク大学経営大学院修了」の事実はないことを大学に確認。

現在プロフィールには「ニューヨーク大学経営大学院修了」はなく、選挙公報にも記述はなかったそうですが、公選はがきには記載されていたため、法的にアウトでしょう。法的にアウトじゃなくても、議員の倫理としてアウト。

選挙広報に出すと公選法に反するので、そこは本人が避けたのに、スタッフが過去の資料を見て公選はがきを作ってしまったんじゃなかろうか。「それは嘘だから外しておいて」とも言えず、公選はがきならいいだろうとスルーしたってところか。

 

 

二重の嘘に突入か

 

vivanon_sentence本人は修了したと言い張っているので、それが本当ならとっとと証拠を出せぱそれまで。きれいに疑惑は晴れます。それができないところを見ると限りなく怪しい。

自分を守るためにさらに嘘をつくのが悪質であるし、安直すぎる点でも政治家の経歴詐称はアウトです。大学に確認すればバレる。あとは「あの当時と今とは名前が違う」といった逃げ道が残るだけですが、これとて確認は容易。確認が容易な嘘を平気でつける人が政治をやっていいはずがない。バレにくい嘘ならいいってわけではないけれど、その程度の見通しもできないのは政治家に向いてない。

どうせもう言い訳はできないのだから、とっとと自ら辞職するのがもっとも傷が少ないと思うのですが、おそらく彼女は長い間この嘘をつき続けてきて、それに基づいた自分の実績がすべて失われることが怖いのではなかろうか。知らんけどよ。

 

 

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