人類の滅亡を見届けるプロジェクトがスタート(私の頭の中だけで)—ほぼ人類滅亡記念すみだ花火大会-(松沢呉一)
中国の国家を揺るがす干ばつ
世界中干ばつです。中でも中国の干ばつは深刻です。川が干上がって水力発電所の発電量が落ち、工場の操業規制が続いています。各地で計画停電が行われているため、ビルのエレベーターやエスカレーターが動かず、店は夜の営業ができなくなっており、コロナ対策と並んで中国経済を逼迫させています。
8月18日公開の報道で、地下鉄の様子はその前日のものです。冷房が使えない中、地下鉄だけはさすがに冷房が効いていて、市民の憩いの場に。ところが、このあと重慶市では、地下鉄の照明も消え、冷房も止められたそうです。あるいは納涼エリアだけは残しているのかもしれないけれど、真っ暗じゃな。
以下は8月24日中央気象局発表の干ばつマップです。
南部のほとんどが干ばつ。狭い範囲であれば、近隣から水を回してもらえばいいのですが、こうも広いと水の移動は容易ではない。
一方、西部の青海省では洪水が繰り返されており、数日前の鉄砲水では少なくとも16人が死亡。
青海省は長江(揚子江)の源流のあるチベット・エリアです。その長江は干上がってきているわけで、辻褄が遭わないようですが、さまざま読んでいたら、「なるほど」と納得できる説明がなされていました。
洪水と干ばつが同時進行する気候変動の特徴は、いくつかの理由があるのでしょうけど、雨を蓄える仕組みの崩壊で説明ができます。大量の雨が降った時に、今までは山が雨を吸収して、洪水を防ぎ、なおかつ適宜その蓄えを放出していったため、干ばつにもならずに済んでいたのが、森林が伐採され、地下水が工場に汲み上げられて、保水力を失って洪水と干ばつが生じていると。
ひとたびこうなると、土砂崩れが起きやすくなり、水分を保てていない山は山火事が起きやすくなります。事実、土砂崩れも山火事も中国では起きています。急速な開発が干ばつ、山火事、洪水を加速させていそうです。
とくにアジアのヒマラヤ、ヨーロッパのアルプスは、雪や氷という形で水を蓄えてきたのが、気温の上昇とともに保水力をなくしています。
※2022年8月18日付「Flood List」
多数の餓死者が出るのはもう避けようがない
UNHCR協会の広告がよくYouTubeに出てきます、
今は東アフリカの窮状を訴える内容です。たしかにエチオピア、ソマリア、スーダン、ウガンダ、ケニア、マダガスカルなどはそれぞれに問題を抱え、あるいは問題を抱える隣国の尻拭いとして難民を抱えていて、その難民たちはもともと餓死の手前にあったりします。
そこに干ばつが襲っていて、東アフリカだけで数千万人が餓死する危機に瀕しています。
しかし、もうヨーロッパも北米も余裕がない。アフリカ大陸にはロシアや中国との関係が強い国が多いのですから、両国が援助すればいいのですけど、ロシアはウクライナ人を殺す金はあっても、アフリカの人々を救う金はない。中国の援助は多くは借金です。
中国は自国のためにすでに穀物を買い漁っているはずで、いよいよ食糧の絶対数が足りない。今年、世界で数千万人が餓死することは避けられないのではなかろうか。
※UNHCR協会のYouTube広告より
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