松沢呉一のビバノン・ライフ

ロシアが軍事侵攻を開始してから半年の節目に振り返る—日本のウクライナ人[1]-(松沢呉一)

 

アフガニスタン人98名が難民として認められた!

 

vivanon_sentence画期的。

 

 

年間最多記録。これまでの日本の姿勢からすると画期的ですが、本来は日本大使館の現地職員やその家族は受け入れなきゃダメじゃないですかね。道義的に受け入れるべきですし、優先順位としても、条件を満たしていましょう。「日本語が少しは話せる」「日本に対する理解や関心が少しはある」「日本に知人がいる」といった条件。

アフガニスタンの難民は今も200万人以上います。そのうちの820人が日本に来ていて、やっと98人が難民として認められました。今までがひどすぎたってことですけど、これが少しは改善されたのはウクライナ難民(日本の法律では避難民)の受れ入れが進んだことの影響もありそうです。

ずっと言っていたように、ウクライナの人たちを受け入れることはそれ自体賛成であるだけでなく、日本の難民に対する姿勢をとらえ直すという意味でもいいサンプルになると思っています。

 

 

糞ロシアの軍事侵攻開始から半年

 

vivanon_sentenceロシアの軍事侵攻が始まってから半年。私もこの節目で振り返っておきます。

戦況はもちろん気になるし、もっとも私が食いつくのは国内で、あるいは国外でプーチンに抵抗するロシア人たちです。命がけで闘っているのに、プーチン支持のロシア人とまとめて同じ扱いをされてしまうのはl理不尽すぎます。

でも、今回は日本に来ているウクライナ人に絞ります。

相変わらず、日本に来ているウクライナ人についての報道をチェックするようにしています。

法務省によると、8月23日現在で日本にいるウクライナ避難民は1,782人になり(すでに日本を離れた人を除くと1,708人)、数万、数十万という数を受け入れているヨーロッパ諸国に比べると、全然たいした数ではありませんが、これも日本としては画期的。

今も毎月100人以上増え続けていますが、報道の数は減ったので、全部に目を通すのはそんなに難しくない。今は子どもらが夏休みになって、イベントも増えていて、なおかつロシアの軍事侵攻から半年の区切りとあって、報道も増えていますけど、この時期を除けば、多くの場合、せいぜい1日に1本か2本です。

これ以外にウクライナ人やロシア人、日本人のYouTuberが、避難してきたウクライナ人をゲストに迎えて話を聞く動画もあります。こっちは全部はチェックしていないですが、ニュースでは見えないところが見えてくることもあるので、こちらも極力観るようにはしています。

 

 

友だちができたラーナちゃん

 

vivanon_sentenceニュースに関して言えば、取り上げ方は大きく二種あって、ひとつは、避難してきた人が少ないエリアで、「3組目の避難民が到着しました」「市営住宅に住み始めました」と地方局が「新人」を取り上げているケース。もうひとつはすでに日本での生活をしている人たちの「その後」についての報道です。

全体としては、受け取るこちら側も「慣れ」が進んでいます。どちらの切り口も新味がない。ニュースの基本は新味ですから、だんだんネタとしては弱くなっていく。やむを得ないのではありますが、忘れられてしまうのはいいことではない。

そこをどう見せていくのかに報道の人たちの創意工夫があって、前に言ったように、その創意工夫のひとつは、「おなじみの人たち」を作ることです。キャラをちゃんと見せるようにして、定期的に登場させて、前より進歩した点を見せる。あれはホッとするのです。

たとえば愛知県長久手市に避難してきたラーナちゃん。

 

 

友だちがいないと 言っていたのに、今はあーんなにいっぱい。笑いながらホっとしました。

 

 

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