「世界難民の日」から1日遅れで考えたこと—ロシアによるウクライナ侵略から4ヶ月-(松沢呉一)
「ウクライナ人が避難するなら、すでに多数迎え入れている自治体が安全確実—その筆頭は福岡県」の続きです。
昨日は世界難民の日でした
以下の報道を見て、6月20日が「世界難民の日」ってことに気づきました。
いい内容です。
この中でクルド人のハニムさんが「ウクライナ人が日本に来たとき、政府は支援したり、会社が仕事をオファーしたり、家を無償で提供したり。ウクライナ人は人ですが、私は人でははないのですか」と言ってます。
ここでまた「なぜウクライナ人だけを歓待するのか」という問題が浮上してきます。以前見たように、ヨーロッパでもこの疑問は出ているわけですが、難民に冷たい日本ではとくにウクライナ人に対する姿勢が際立っていましょう。
いろんな理由があるにせよ、飛行機代まで負担してウクライナ人を呼び、有効期限1年でしかないにしても、働くこともできるビザを発給しているのに対して、国に帰れば迫害される上に犯罪者になるクルド人を救済しないのはたしかに納得しにくい。
日本において「なぜウクライナ人だけを歓待するのか」という疑問はふたつの立場から発せられています。ひとつは「ウクライナ人を優遇すべきではない」という立場です。他と同様、冷たく突き放せと。
もうひとつは「ウクライナ人以外の人々も救済すべきである」という立場です。私は難民受け入れに慎重でありながらも肯定していますから、私が「なぜウクライナ人だけを歓待するのか」という疑問を発する際には「ウクライナ人以外も」を含意しています。
まずは難民の認定を広げるべきで、中に数字が出ているように、欧米各国が万単位の難民を受け入れているのに対して、日本はずーっと二桁です。カナダの約50パーセントを筆頭に、各国難民申請者の10パーセント以上を難民として認めているのに、日本は0.7パーセントです。99パーセント以上の申請は却下して、受け入れる国に追いやるか、迫害され、逮捕されるかもしれない国に追い返しています。
ハニムさん一家もこのままだと不法滞留になってしまって、国に帰ってみすみす逮捕されるしかないのかも。
なんとかしたい。
ずーっと国内外から批判されてきたのに、わずかにしか難民認定者数は増えていません。難民として受け入れたわけではないけれど、千人以上のウクライナ人を受け入れたことを契機に、考える機会にしたいものです。
※アムネスティ・インターナショナルのサイトより「難民認定申請者と認定者の推移」 日本における難民申請数(棒グラフ)と難民認定された数(折れ線グラフ) の推移
福岡県と並んでウクライナ人の受け入れに積極的な愛知県
このところ、ウクライナへの関心が急速に落ちている話を何度か書いてます。しゃあないと思いつつ、それでいいんかとも思います。ウクライナから来た人たちを報じるニュースに対して「そっとしておいてあげて欲しい」などと言っていた人たちにとっては今はいい状態ってことでしょう。いいわけないと思うなあ。
ウクライナについてはやることやったのでもういいのだとしても、難民や移民について考える契機としては全然活かせていないのではなかろうか。もったいない。
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