松沢呉一のビバノン・ライフ

ハンマーで頭をかち割られたロシア囚人兵のエフゲニー・ヌジン—サンクトペテルブルクでの大爆発についても-(松沢呉一)

 

サンクトペテルブルクで大爆発

 

vivanon_sentence次から次といろんなことが起きてますが、今もっとも気になるのはサンクトペテルブルク付近でガスのパイプラインが大爆発したことです。

 

 

すでに鎮火して、他のパイプラインに切り替えて、ガスの提供では支障は生じておらず、人的被害もなかったようです。

反体制グループの仕業かと疑うところですが、ロシア・メディアもウクライナ・メディアもただの事故扱いです。ただの事故であっても、ロシア人たちの中には戦争に関係しているのではないかと考える人は少なくないはずで、「もう戦争はうんざりだ」と考えて、ロシアのパイプラインを爆破するのが増えて欲しい。

 

 

ハンマーで頭を潰されたエフゲニー・ヌジン

 

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ワグネル(ワグナー)の傭兵が裏切り者として巨大ハンマーで処刑される動画が公開されたことが話題になってます。

 

 

 

処刑されたエフゲニー・ヌジンのことはよく知ってます。近所の定食屋でよく会う知り合いみたいな口振りですが、彼がウクライナ軍の捕虜になった時のインタビューを観ていて、「ビバノン」でも詳しく取り上げました。まさにあのインタビューが原因で彼は処刑されたのです。

自分はこれからウクライナのためにロシア軍と闘いたいと語り、ロシア自由軍に参加したいとまで語っていたのに、どうしてロシアに戻ったんだろ。本人は最後の言葉の中でキエフで拉致されたようなことを言ってますが、それは無理があると思います。ゼレンスキーも経緯を調べるように命じているのですが、どうやら望んで捕虜交換になったようです。

あのインタビューでは年齢まではわからなかったのですが、フゲニー・ヌジン1967年生の55歳。若い頃は内務省に勤務していたということなので、エリートです。ソ連崩壊の混乱期にギャング団に参加し、1999年に人を殺し、懲役24年の刑に。死刑寸前、みたいな年数ですから、同情の余地のない人殺しだったのだと思われます。

 

 

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