北原みのりの立場を悪くする上野論—上野千鶴子の粗雑な論をありがたがるのはもうやめれ[3]-(松沢呉一)
「現実とずれた仮想を前提にした論は無効—上野千鶴子の粗雑な論をありがたがるのはもうやめれ[2]」の続きです。
差別であるなら、女の発言も差別とするのがスムーズ
今回はクレアさんの言っていることはあんまり出てこないですが、このシリーズのきっかけになった「クレアの食速報」をまだ観てない人は先に観ておいてください。
また、ここで批判されている「上野千鶴子氏に聞いた」も読んでおいてください。
ここまで見てきたようにに、上野千鶴子によると、異性の容姿を評価するのは差別だそうですよ。
差別であるなら、女がそれをやっても差別です。米国のヘイトクライム法はマイノリティに適用される方がマジョリティに適用されるよりも多いのは、マジョリティ、マイノリティを問わず、人種、肌の色、出自などの憎悪に基づく犯罪に適用されるからです。そうしないと、黒人居住区で白人が白人という理由で黒人たちにリンチされて殺されることには適用されない理不尽が生じます。この空間においては黒人がマジョリティであり、白人はマジョリティですから当然であり、いちいちその場でどちらがマジョリティで、どちらがマイノリティであるかの判断をせずに。ヘイトクライムは認定されます。
ヨーロッパにおける差別禁止の法律も、移民に適用されることがあります。ムスリムが「ユダヤ人を殺せ」と扇動することも禁止です。
逆差別が生じないように差別の禁止法はしばしばこういう建付けになっているのですが、上野千鶴子にかかると、女が男をルックスで評価することは容認されるんですってよ。その理由は男女の関係が非対称だから。たぶん上野千鶴子は米国のヘイトクライム法はマジョリティにだけ適用されると思っているのでしょう。
北原みのりの売り専ツイートはどう解釈されるのか
では、このツイートはどうでしょう。
久々にウリセンに行ってよくわかった自分の好み。色が白くて胸板があってデコルテがきれいで開襟シャツの似合う清潔な黒髪で腕のつけねが適度に太くしなやかな筋肉のある人。って、昨晩の復習のためつぶやいてみた。やはり、ジャニーズじゃ、だめなのよ。
— 北原みのり (@minorikitahara) September 3, 2010
世界に向けて、見た目しか語ってないですね。
これも、上野千鶴子にかかれば、自分の価値観ではなく、男性的な価値観を内面化したものですかね。
このツイートは、北原みのりの発言でもっともよく知られる傑作です。買春を徹底的に否定する仁藤夢乃のような人たちが、よくもまあ北原みのりと手を組めるもんだと呆れる意味で取り上げられますし、ジャニーズ系が好きではないくせに、PENLIGHTに関与していることに対する批判として取り上げられますが、それがなければ、私はどうとも思いません。
この場合も、マナーとして公然とツイートすべき内容なのかどうかは問われるとしても、北原みのりの性的趣味なんて興味がないので、どうでもいいわけですが、多くの女にとっても見た目が重要なのは当たり前である現実を表わしているだけです。
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