松沢呉一のビバノン・ライフ

世界の平和を守る人妻JK魔法少女りりちゃん逮捕の謎—マニュアル販売だけで幇助は無理がないか? 「3億円頂いた」は噓では?-(松沢呉一)

✳︎この記事の訂正はこちら

 

 

マニュアルを販売しただけで幇助?

 

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逮捕された頂き女子りりちゃんなんだけどさ。

 

 

 

これを見て、「鼻をいじっているな」「似たタイプの女を知ってるぞ」など、いろいろ思うところはあるのですが、なにより私が気になったのは、マニュアルを販売したこと自体で詐欺の幇助になったらしきことです。

まずくないか? 過去に『完全自殺マニュアル』や『ザ・殺人術』といった本が出ていますが、著者や出版社が自殺幇助や殺人幇助で捕まったという話は聞きません。『完全自殺マニュアル』については、実際に自殺する際に参照した事例もあったはずです。それでも捕まらない。

爆弾製造法と革命のマニュアルを記載した『腹腹時計』を地下出版した東アジア反日武装戦線のメンバーは、その内容を自ら実践して軒並み逮捕されていますが、『腹腹時計』で捕まったわけではありません。

幇助は範囲が拡大しかねない怖さがありますが、表現の自由の観点から、警察もそこには踏み込めないと思います。これをありにしてしまうと、殺人方法や銀行襲撃方法が具体的に出ている小説や映画は全部アウトですから、メディアも反発するはずです。

しかし、警察としては、世界の平和を守る人妻JK魔法少女りりちゃんだったら、誰も文句を言わないだろうと計算して、踏み込んだのかもしれない。事実、誰もここに疑問を抱いていないようですし。

 

 

「文春オンライン」で納得した

 

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新聞記事もすべてマニュアル販売が幇助になったとしか読めないのですが、「文春オンライン」には他の報道にないこんなフレーズが出ていました。

 

社会部記者が解説する。

「渡辺容疑者は昨年6月7日ごろ、20歳の女が男性から現金をだまし取る意図があったことを知りながら、2万8000円でマニュアルを販売しています。さらに今年の2月にはLINEなどの通話アプリを通じ、女に好意を寄せた男性2人から計1065万円をだまし取る詐欺行為を手助けした疑いがあります。警察は渡辺容疑者自身も同様の手口で複数の男性から金銭をだまし取っていたとみて捜査を続けています」

 

これなら納得。販売の時点で購入者と電話なり、LINEなりでその意思を確認し、詐欺の進行中にもアドバイスをしていたのです。アフターケアがしっかりしています。親切。

 

 

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