松沢呉一のビバノン・ライフ

一般社団法人Springの浅はかなごまかし—東京弁護士会とSpringにとって人権はあまりに軽い[前編]-(松沢呉一)

 

草津温泉が賑わっているようでなにより

 

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ちょっと前にこの動画を観て、草津温泉が完全復活を遂げたようで、ホッとしました。

 

 

 

しかし、どこの温泉地も、コロナ禍で客が激減し、潰れた旅館、ホテル、飲食店、土産物屋があったことを考えると、胸が痛みます。

その苦境にあった草津町に追い討ちをかけるように誹謗中傷を拡散し、現地まで乗り込んで嫌がらせをした人々のことを決して忘れまい。

 

 

「草津町フラワーデモに関する当団体の見解について」

 

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塩村あやか参議院議員の思考を読み解く—ホストクラブ規制を求める人々の薄っぺらさ[追加編3]」で、東京弁護士会が一般社団法人Springに「第38回 東京弁護士会人権賞」を授与した件を書きましたが、批判の高まりを受けて、12月5日、やっとSpringが「草津町フラワーデモに関する当団体の見解について」を公開しました。

 

 

 

 

以前書いたように、謝罪をしたら深追いすべきではないと私は思っていますが、黒岩信忠草津町長、草津町議会、草津町全体を誹謗した人々が今になって謝ったところで、「はい、そうですか。今後気をつけてくださいね」で済むはずがない。

 

 

改めて経緯

 

vivanon_sentence上の「見解」から確認。

 

当団体は、2020年12月11日に行われた、性被害を訴えた元草津町町議の女性がリコールされ たことに抗議した「草津町フラワーデモ」に関して、同日、当団体のSNSにおいて「草津町フラワーデモに連帯します」と表明したことがあります。それについて団体としてここに見解を発表します。

 

約3年経っています。

2015年1月8日に町長室で「性行為を強要された」と新井祥子町議(当時)は証言しており、事件が公になった段階(飯塚玲児著の電子書籍草津温泉 漆黒の闇5』が発表されたのは2019年11月12日)から数えると約4年。その時点でも、黒岩町長は全面否定していましたし、町長室の状況やそれまでの言動から、新井祥子の証言を疑問視する人は現地でも、あるいはそれ以外でも多かったわけです。その段階で、どちらが正しいのか判断しきれなかったのであれば、判断を保留するのが適切な姿勢でしょう。私も当時、「新井祥子の言っていることは怪しい」と思いつつ、黙ってました。

2020年9月15日からリコール運動が草津町で始まり、3,292人の署名を集めて、12月6日に住民投票が行われ、賛成が9割を超えてリコールが決定します。このリコールは、新井祥子に居住実態がないことなど複数の理由に基づいたものであり、問題のある議員であることが地元で認識されていたことがわかります。

にもかかわらず、これに対して、フラワーデモを中心に、「セカンドレイプの町」として、インターネットで、また、現地でも誹謗中傷を繰り返しました。

このフレーズは誹謗中傷を象徴する言葉となり、この言葉が拡散されるに至った原因を作ったとして、町議会は新井祥子元町議を支援する会」の会長であった中沢康治町議を告訴しています。

このフレーズこそ、Sprinngの山本潤代表理事(当時)による「レイプの町」という言葉を和らげたものだったらしい。「レイプの町」にせよ、「セカンドレイプの町」にせよ、新井祥子の言い分をこれっぽっちも疑わなかったから使えるフレーズです。

法に則ったリコールに賛成した草津町民、草津町議会を、さらには民主主義や人権をも愚弄する言葉を生み出した上で、Springは草津町にも足を運んでますから、とてもじゃないですが、SNSで連帯を表明したことがあっただけかのようなふりで済ませていいものではありません。フラワーデモや全国フェミニスト議員連盟と並んで、誹謗中傷の主体となった外部団体だといっていいでしょう。

✳︎一般社団法人Spring代表理事山本潤のアカウントで出されたフラワーデモの報告。現在このアカウントは存在せず、こちらからお借りしました。「#セカンドレイプの町草津」というハッシュタグもこの人が広げたようです。このアカウント名ですから、「Springとしてやったのではなく、山本個人によるものだ」と主張するのは無理。山本潤は一般社団法人Spring代表として、「#セカンドレイプの町草津」というハッシュタグを拡散し、多くの人が移動することを控えるコロナ禍に、客が激減して呻吟する温泉街まで行き、おそらくはまったく金を落とすこともなく、嫌がらせをしたのです。なお、山本潤さんは、現在、茨城県立医療大学保健医療学部看護学科の助教だそうです。すでにSpringから離れているようですから、会とは別に「草津町フラワーデモに関する山本潤の見解について」が必要と考えます。

 

 

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