松沢呉一のビバノン・ライフ

Spring「草津町フラワーデモに関する当団体の見解について」は東京弁護士会の要請だった?—東京弁護士会とSpringにとって人権はあまりに軽い[中編]-(松沢呉一)

一般社団法人Springの浅はかなごまかし—東京弁護士会とSpringにとって人権はあまりに軽い[前編]」の続きです。

 

 

反省の機会を見送り続けたSpring

 

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前回確認したように、「新井祥子の証言は信用できない」と判断できるタイミングは何度もありました。

2年前にレイプという表現が適切ではないことは新井祥子自身が明らかにしていたのだから、その点だけでも、「セカンドレイプの町」を生み出した山本潤、また、彼女が代表だったSpringは訂正すべきでした。それについて、新井祥子は。両者の区別がついていなかったと言ってましたが、その誤解を共有して、電車の痴漢を「レイプだ。肉体関係を強いられた」と言う人はいないでしょ。であるなら、訂正だけは必要ですし、「この人は大丈夫か?」と疑うべきです。

自分らが信じた新井祥子が自身がレイプなんてものではなかったことを認めたのに、なぜこの訂正を受け入れなかったのでしょうね。誹謗中傷して憂さ晴らしをしたかっただけか?

この告訴は証拠不十分で不起訴になり、黒岩町長からの告訴が受理されたタイミングでも、謝罪とともに撤回してよかったはずです。「検察なんて信用できないと言うのなら、それを受けて、この騒動を最初の発信者である飯塚玲児が事実ではないと認めたタイミングはどうでしょう。

また、証拠のはずの録音テープの大半を消していて、検察が全体を復元した結果、何らかの強要があったことを思わせる点は何もなかったことが法廷で明らかにされたのも、その絶好のタイミングでした。

もうひとつの重要ポイントは、「支援する会」解散です。新井祥子をよく知る会長も副会長も事実ではなかったと認めたわけですが、Springはこれにも反応しませんでした。

 

 

Springの声明に記載された日付が示すこと

 

vivanon_sentenceことによると、Springは、騒ぐだけ騒いで、以降の経緯を追ってなかったのではないか。

草津町フラワーデモに関する当団体の見解について」より。

 

去る2023年11月15日、草津町町長によるレイプ被害を訴えた元草津町町議の女性自身がレイ プ被害の訴えが虚偽であったことを認めたとの報道がありました。

 

11月15日に初めて新井祥子の証言を知ったようです。たしかにこの日、「朝日新聞デジタル」が報道しています

 

 

しかし、裁判は11月1日です。翌日には上毛新聞が報じていて、追ってSNSやYouTubeで取り上げられていました。

 

2023年11月2日付「上毛新聞

 

 

11月15日に初めて新井祥子の証言を知ったのが事実だとすると、この件ついてはまったく興味がなかったことを意味します。今になって始まったことではなく、最初から興味がなかったとしか思えません。だから、黒岩町長の言い分を検討しなかったのでしょう。興味なんてなく、だから事実なんてどうでもよかった。哀れな「被害者」に同情する「私たち」の姿を見せたかっただけです。

その間、「行き過ぎた表現が示された画像などSNS等で当団体が行った投稿 」は放置されました。

 

上記認識に基づき、過去に行き過ぎた表現が示された画像などSNS等で当団体が行った投稿 につきましては、それを目にした方に重ねて不快な思いをさせてしまうことを避けるために、全て 削除することと致しました。

 

それまでの3年間に「それを目にした方に重ねて不快な思いをさせてしまうこと」を続けたことに比べるとたいした遅れではないかもしれないですが、11月15日に知って、「草津町フラワーデモに関する当団体の見解について」を公開するまで20日経っています。もし本当にそう感じていたのであれば、気づいてすぐに公開すべきでした。

 

 

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