松沢呉一のビバノン・ライフ

日本で起きない事故が韓国で頻発する理由—韓国でたびたび起きる「後進国型事故」[追記編2]-(松沢呉一)

JAL本社に展示されている事故機の残骸—韓国でたびたび起きる「後進国型事故」[追記編1]」の続きです。

 

 

法律はあるのに

 

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前回出てきた漏電遮断器の設置は、労働安全衛生規則で定められています。

 

(漏電による感電の防止)
第三百三十三条 事業者は、電動機を有する機械又は器具(以下「電動機械器具」という。)で、対地電圧が百五十ボルトをこえる移動式若しくは可搬式のもの又は水等導電性の高い液体によつて湿潤している場所その他鉄板上、鉄骨上、定盤上等導電性の高い場所において使用する移動式若しくは可搬式のものについては、漏電による感電の危険を防止するため、当該電動機械器具が接続される電路に、当該電路の定格に適合し、感度が良好であり、かつ、確実に作動する感電防止用漏電しや断装置を接続しなければならない。
 事業者は、前項に規定する措置を講ずることが困難なときは、電動機械器具の金属製外わく、電動機の金属製外被等の金属部分を、次に定めるところにより接地して使用しなければならない。
 接地極への接続は、次のいずれかの方法によること。
 一心を専用の接地線とする移動電線及び一端子を専用の接地端子とする接続器具を用いて接地極に接続する方法
 移動電線に添えた接地線及び当該電動機械器具の電源コンセントに近接する箇所に設けられた接地端子を用いて接地極に接続する方法
 前号イの方法によるときは、接地線と電路に接続する電線との混用及び接地端子と電路に接続する端子との混用を防止するための措置を講ずること。
 接地極は、十分に地中に埋設する等の方法により、確実に大地と接続すること。

 

銭湯はこの条件に疑いなく合致。これが守られているので、日本の銭湯では感電死がないようです。

調べてみたら、韓国では日本の「労働安全衛生規則」と同趣旨の産業安全保健基準に関する規則に漏電遮断器規定がありました。

しかし、定期検査がいい加減で、漏電遮断器が老朽化していても放置されるようです。

 

 

「交換したくても、費用が負担」と言ってますが、漏電遮断器はそんなに高いものではなく、ここに出ているのはもっとも安いタイプで、2千円くらいか。電気工事の業者に頼むとしても、難しい作業ではなく、1時間足らずで完了しそうです。料金は1万円もしないのではないか。

毎年交換しなければならないものでもない。法が足りないのでなく、韓国では運用が適当で、銭湯経営者の杜撰な意識が客を殺し続けています。

 

 

日本が100Vなのは安全性重視のためらしい

 

vivanon_sentence各国の電圧も調べてみました。

 

NKS株式会社のサイトより

 

 

聞いていたように、たしかに韓国と中国は220Vです。

最近は変圧器が内蔵されている機器がありますし、変換できるようになっているホテルもあるので、苦労がなくなりましたが、若い頃に長期滞在する場合は重い変圧器を持っていったものです。そういう経験をしていても、ボルト数までは記憶してませんでした。

日本は北朝鮮と並んでもっとも電圧が低い部類なのですね。何故か。もしかすっと……と思ったら、これもNKS株式会社のサイトに出てました。

 

 

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