春節の花火に紛れて山東省で20名以上が銃殺された事件と中国サッカーの八百長—中国経済の停滞と国民の不満噴出[補足編]-(松沢呉一)
「中国経済の停滞と国民の不満噴出」の補足編です。
山東省で21名が殺される事件があった模様
2月10日、山東省の村で少なくとも21人が銃殺され、20人以上が負傷する事件があったようです。
[真实现场:大批特警往莒县抓人]
[新年屠杀:枪手报复社会21人死]
[社会矛盾:集中恐怖大爆发无解]
山东日照莒县洛河宅科,爆发春节大年初一,恐怖大屠杀,40多人伤亡,21人已经死亡,20多人在医院里抢救,继续死亡人数不断攀升。… pic.twitter.com/LVSNtaQoWA— 赵兰健[Zhao Lanjian] (@uyunistar) February 12, 2024
この趙蘭堅という人物は、在米の反中国共産党派のようで、この動画は中国のSNSから転載したものでしょう。
Xには手出しできないとして、当局はせっせと情報を消して回っていて、香港メディアの報道も消された模様。微博の大使館アカウントに書き込んでも消されるのでしょう。
そのため、趙蘭堅さんも情報が得られていないようで、今のところ続報は書かれていません。
英語メディアでも一部報じられていますが、SNSから漏れてきては消される情報の寄せ集めでしかありません。中国語メディアも法輪功系くらいしか残ってないのですが、それを読んでも何があったのかよくわからず。
2月10日は春節の初日で、花火や爆竹の音に紛れて、次々に村人を殺していったようです。死亡者の1名は現場に駆けつけた医師だったとのこと。また、警察との銃撃戦があったとの情報も。
犯人は複数いたようですが、その人数もはっきりしません。うち一人は元特殊部隊隊員らしいのですが、何か問題を起こして、村人に通報されて刑務所に入れられて恨んでいたとも、その後勤務していた職場を解雇されたとも、教員に対する生徒の報復とも言われていて、全然わからん。
それだけの恨みを複数の人が共有することは相当に珍しく、もうちょっと複雑な事情があるのかもしれないのですが、真相が公式に発表されることはなさそうです。
この事件を隠蔽することの大きな問題は、犯人グループの2名は逃走中であることです(その後捕まったかもしれないですが)。もはや死刑しかない2名が銃を持って逃げていてもメディアは住民に警告もできない。彼らがどこにいるのか手がかりになる情報も流れないので、逮捕が遅れます。
これによって、さらに被害者が増えかねないですが、それもなかったことにすればいいと考えるのが中国政府の発想です。
✳︎2024年2月13日付「看中国」
なぜ中国共産党はこの事件を頑なに隠蔽しようとするのか
ついさっき、妙佛さんが、この件を取り上げていました。
なぜこうも当局はこの情報を隠そうとしているのかについても推測しています。たしかに中国では、不安や不満が蓄積されています。しかし、重要な情報を隠そうとするから、一層不安や不満が高まり、それがあちこちで噴出するのです。
中国サッカーの八百長
「中国人観光客の減少と変質—中国経済の停滞と国民の不満噴出[中編]」で、軽く中国サッカーについて触れたので、これについても補足しておきます。
サッカーに詳しい人は中国の元スター選手であり、中国代表監督であった李鉄の八百長はご存じかと思いますが、このところ中国では、収監されている李鉄の懺悔告白を含むドキュメンタリーを国営放送CCTVが放送したことが話題になっています。CCTVはYouTubeでもその映像を公開していますが、自動翻訳の設定がなされていないので、中国語がわかる方はご覧ください。
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