全体主義国家ロシアはウクライナに侵攻し、全体主義国家中国はウイグルで民族浄化—ここまでの補足や追記-(松沢呉一)
テキサスの銃乱射なんて小さい、小さい
テキサス州の銃乱射事件を受けて、米上院議員が「こんなことが起きるのはアメリカだけだ」と演説してましたが、んなことはない。ウクライナでは、ロシアって国が国家ぐるみで学校や病院にミサイルを打ち込み、大量の民間人を虐殺し続けています。
テキサス州の犯行はたったの一人によるものです。対して、ウクライナでは何千というロシア兵が戦争犯罪をやっていて、使っている武器も大掛かりであり、毒ガス兵器を使用した疑惑もあり、核兵器の使用もほのめかす悪辣さ。
驚いたことにロシア国民の7割はそれを支持しています。騙されているのではなく、自ら支持しているのです(「全体主義体制における賢い生き方」シリーズを参照のこと)。ロシアの人口は1億4千万人ですから、約1億人が支持する略奪、強姦、放火、殺人です。今現在進行しているものとしては、最悪の規模と言っていい。
中国でも、中国共産党がウイグル人の迫害をやり続けています。こちらも中国の国民の大多数は支持、少なくとも容認です。こちらも今現在進行しているものとしては最悪規模の民族浄化。
「全体主義国家で抵抗する人々の傾向—ナワルニーは懲役9年」に、ウイグルの強制収容所について公開された内部資料(警察の資料だったようです)について、「今回公開された資料は個人データが大量に含まれているので、生還した証言者の裏とりができるかもしれない」と書きましたが、あの回を出したあとで、以下に気づきました。
現段階では公開された資料が本物かどうかの確認が主目的でしょうが、BBCがもう照合をやってました。
希望者のための職業訓練所に入るのに、どうして涙ぐんでいる人がいるんですかね。どうして73歳までが入れられるんですかね。どうして警備員は銃を携行しているんですかね。どうして逃げようとしたら銃殺するんですかね。
いつものように、中国外務省の報道官は噓だと強弁。ロシアと一緒。クズはあらゆる行動が似る。
良心というもんがないんか。あるんでしょうけど、それより損得の計算を優先。自分の地位、収入のためには噓を言える。
ロシアや中国じゃなくても、だいたいの人はそういうもんですけど、自由が許されている国では、損得のありようが多様になって、捕まっても言いたいことを言うことに価値を見出し、それを貫くことを得と考えられる人も生み出します。
チーナ・カーロリ来日を報じるウクライナ・メディア
チーナ・カーロリの来日は、YouTubeの再生回数を見る限り、あまり日本では話題にならなかったようですが、首相にまで会って、十分役割を果たしたでしょう。
日本での映像は翻訳されてウクライナ向けの動画になっているのは気づいてましたが、ウクライナのニュースで取り上げられたことにさっき気づきました。
さすがにウクライナ・メディアは独自に取材する余裕はなかったようで、映像はすべて観たものです。
前に書いたように、ウクライナの報道では、国外でのロシアに対する抗議行動やウクライナに対する支援運動をよく取り上げています。そういう行動がウクライナの人々を勇気づけます。
チーナ・カーロリの来日もウクライナの人々を大いに勇気づけたことがコメ欄でもわかります。
(残り 1491文字/全文: 2966文字)
この記事の続きは会員限定です。入会をご検討の方は「ウェブマガジンのご案内」をクリックして内容をご確認ください。
ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。
会員の方は、ログインしてください。
外部サービスアカウントでログイン
Twitterログイン機能終了のお知らせ
Facebookログイン機能終了のお知らせ