ナワルニーに続いて、ウクライナに亡命した元ロシア空軍パイロットも殺された—マキシム・クジミノフの死-(松沢呉一)
「希望はどこに?—アレクセイ・ナワルニー(ナワリヌイ)の死[続報]」の続きです。
ひさびさの「ロシア人にインタビューしてみた」
「ロシア人にインタビューしてみた」は昨年12月初頭にホロドモールについてのインタビューが公開されてから投稿がなく。「遂にFSBに潰されたか」と思っていたのですが、ナワルニーの件で今年初の投稿がありました。
オリジナルのチャンネルを見てみたら、コンスタントに投稿は続いていて、ナワルニーの件だけで他に数本出ています。投稿が激減しているのは日本語版だけでした。日本語版は再生回数が激減してしまって、日本語版をやっている人がやる気をなくしたか。
インタビューを受けている人たちは「プーチンが殺すわけない」「牢屋に入れられたことで病気になっただけ」「どうでもいい」といった反応ですが、ダニール・オラインが最後に解説しているように、政府に批判的な人は答えてくれない。
以前ははっきりもの言う人たちが一定数いたものですが、もはや何も言えなくなっているようになっているようでもあり、ナワルニーの死は彼らから希望を奪ったようにも見えます。
亡命したロシア軍パイロットのマキシム・クジミノフが殺害された
実際のところ、殺されたのか、ただの病気だったのかわからないですが、遺体さえも隠すくらいなので、殺されたのだろうと思うしかない。
それをさらに確信させる殺人がありました。
まだスペイン警察は、殺されたのが誰であるのかについて発表していないのですが、ウクライナ国防情報局 は元ロシア軍パイロットのマキシム・クジミノフであると発表。犯行は、ロシア連邦対外情報局によるものと見られています。
マキシム・クジミノフは、1995年に生まれ、シズラニ高等軍用航空パイロット学校を卒業。ロシアのウクライナ侵攻が始まった時、彼は空軍第319ヘリコプター連隊のパイロットとしてロシア軍に勤務していましたが、アムール地域の部隊に残っていたため、戦闘には参加せず。そのため余裕があったのでしょうが、ロシアとウクライナの関係やロシア・ウクライナ戦争について書籍やインターネットで学び、ウクライナに共感するようになります。
そのため、クジミノフは軍を辞めようと考えますが、そんなことを申し出ようもんなら、歩兵として前線に送られると聞いて断念。重要な任務を担当していた軍人に辞められるのは軍にとっては損失が大きく、とくにパイロットは育成に時間がかかりますので、そう簡単には辞められないようにしていて、辞めようとすると制裁が待ってます。
2023年に入って、クジミノフはウクライナ軍とコンタクトをとり、共同でロシアから脱出するためのシニュツィア作戦が始まります。 シニュツィアはシジュウカラの意味。
(残り 1233文字/全文: 2517文字)
この記事の続きは会員限定です。入会をご検討の方は「ウェブマガジンのご案内」をクリックして内容をご確認ください。
ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。
会員の方は、ログインしてください。
外部サービスアカウントでログイン
Twitterログイン機能終了のお知らせ
Facebookログイン機能終了のお知らせ