松沢呉一のビバノン・ライフ

軍事ブロガー爆殺事件の続報—さらに連続するロシア国内での爆破・火災の事情-(松沢呉一)

サンクトペテルブルクで軍事ブロガーが爆殺された—ウクライナ工作員説とロシア内部抗争説」の続きです。ふだん「サンクトペテルブルグ」としていることが多いのですが、前回は「サンクトペテルブルク」にしていました。ロシア語だと濁らず「ク」ですが、英語読みだと「グ」。どっちでもいいってことで。

 

 

サンクトペテルブルグの軍事ブロガー爆殺事件の概要が少し見えてきたが、ロシアの発表なので、どこまでなんなのかわからん

 

vivanon_sentenceなりゆきで、サンクトペテルブルグで軍事ブロガーのヴラドレン・タタルスキーが爆殺された事件の続報。

容疑者が拘束されました。

 

 

容疑者のダリア・トレポア(Дарью Трепову)はあのあと外に出て爆発から逃れたようで、遠隔操作で爆発させたのではないかとも言われています。起爆装置のスイッチを押した人物、アパートにともに戻ってきた男など、複数による犯行と見られていますが、まだ他のメンバーは捕まっておらず、ロシア当局も特定できていないと言ってます。彼女が証言を渋っているのは、仲間が逃げるための時間稼ぎをやっている可能性もありそうです。

ダリア・トレポアは26歳で、大学生と自称して(おそらく噓)、タタルスキーに連絡をとって、舞台となったプリゴジン系愛国者の集まりに呼ばれています。彼女は、昨年、反戦デモに参加して拘束されたことがあるとの報道も出ています。前回書いた「ウクライナ軍の工作員」「プリゴジン派を牽制したいFSB」「反戦デモ派から転じた地下組織」のみっつの可能性のうちの三番目か? 平和的手法までが禁止されると、そうなるのです。

ただ、ロシアメディアの報道を見ても、何が何なのかよくわからんです。彼女は「利用された」と証言しているとロシアメディアが伝えています。モスクワに住んでいるのですが、会場となったカフェから徒歩5分くらいのところにあるアパートを借りて準備をしていたので、「何も知らないまま利用された」ということはないでしょうが、警察は爆発物が像に仕掛けられていることを彼女は知らなかった可能性があるとしています。んなことはないようにも思いますが。

また、彼女はウズベキスタン行きのチケットを購入していたのに、どうして逃げられなかったのか、一緒にいた男はどうして逃げられたのかも不明。ダリア・ドゥーギナ殺害の容疑者(ロシア当局がそう言っているだけで、実際にどうなのかは不明)はすぐさま国外に出ているのに、ダリア・トレポアはなんでいったんアパートに戻ったのかな。変装のためか。

 

 

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