27歳に貢いだ21歳と23歳に貢いだ50代の違い—日本と中国「頂き女子」比較[中編]-(松沢呉一)
「収入のほとんどを「恋人」に貢いでいた21歳のパンマオ君が自殺—日本と中国「頂き女子」比較[前編]」の続きです。
年齢による印象の差
西新宿タワーマンション敷地での刺殺事件は、結婚を匂わせて1千万を巻き上げていた女が殺されたっぽいですが、詳細がまだわからないので、ここではすっ飛ばします。
パンマオとタン・ジューの物語は「世界の平和を守る人妻JK魔法少女りりちゃん」こと渡邊真衣の行動と世間の評価を照らすのに格好の素材です。では、比較してみましょう。
私自身、渡邊真衣の被害者にはあまり同情がない。対して、パンマオには同情します。自殺したためでもありますが、この差は、年齢によるところが大きい。以前から言っているように、人の命には軽重があります。若ければ若いほど、残された時間が長く、その分、命は重い。
パンマオが死んでいなくても、百戦錬磨(かどうかわからんですが)のお姉さんに弄ばれて、収入のほとんどを渡しているとわかったら同情して、「収入のほとんどを渡さないとならない恋愛って何だよ。騙されてるから、やめとけ」と私はアドバイスしたでしょう。
これが50代でも、「やめとけ」と言いますが、同時にその人物への評価が落ちます。歳を取れば取るほど経験値が高く、分別がついていると期待されるためです。その期待を満たさず、渡邊真衣のような小娘に手玉に取られていれば、「バカだなあ」になってしまいまい、どうせ未来はないので、好きにすればいいと思って放置するかもしれない。
渡邊真衣の被害者の中に、人知れず自殺していたのがいたとしましょう。死んだとなれば印象が違ってきますが、それでも21歳のパンマオに対する同情には遠く及ばない。
現実には、21歳と変わらない経験値しかない50代も少なくないはずで、21歳と同じような純情さを維持しているのは褒められていいのですが、「情けない」と嘲られ、少なくとも軽視されます。
これは年齢差別です。「年齢差別は解消しろ」と言っても無理ですが、年齢によって、自分の判断が180度違っている場合、そのバイアスを疑った方がいいと思います。
✳︎2024年5月6日付「木兰围场」 タン・ジューが最初に出した謝罪動画のSSです。顔をいじりすぎかと。それと謝罪動画なのにメイクをキメすぎかと。表情が乏しく、声を加工していたこともあって、AI生成された動画ではないかとの疑惑まで出ています。動画を観るとさほどおかしくないのですが、確かにSSではAI画像に見えます。過去、彼女が公開していた自分の写真も加工しまくりです。どの意味でも、作り物の顔です。
恋愛関係の相手から受け取る金はいくらまでが許容範囲か
そのバイアスもあって、タン・ジューは純情なパンマオから金を巻き上げた悪女になってますが、警察が関与しても詐欺にはなってません。
タン・ジューは結婚を約束したと書いている台湾メディアもありますが、同棲の間違いかと思います。同棲を約束したのは事実だとしても、そのことで金を出させたのではなさそうですし、引っ越したのはパンマオであって、タン・ジューが金を使うわけではないので、金を無心する理由にはならない。
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