松沢呉一のビバノン・ライフ

今時ロシアや中国に行く人が酷い目に遭っても同情しない—人類が滅びても同情しない-(松沢呉一)

 

ロシアに行ったら前線で兵士をやることになったインド人たち

 

vivanon_sentence

消耗戦になっていて、ロシアウクライナも疲弊してますが、両国とも人員不足が深刻なようです。

 

 

でもさ、ちょっと引っかかるのよね。インドはロシアともウクライナとも関係を保っていて、微妙ではあれ、ロシアとの関係は悪くないのに、こんなことをして、インドが一気にウクライナに傾くのはロシアにとってはデメリットが大きすぎましょう。

そのくらい切羽詰まっているのだとしても、数名の人員のために、ベラルーシまで連れて行き、ベラルーシにも協力させて強制送還させるのは手間がかかりすぎです。また、選択の段階で「10年刑務所に入った方がいい」と答えるのもいるでしょう。そうなったら苦労は水の泡。こんな面倒なことをせずとも、ポケットかバッグの中にコカインでも入れて逮捕すればいいだけ。

なんか変だぞと検索してみたら、今年の3月にロイター他が報じているネタで、記事によって内容が違っています。誰の家族に聞いたのかによる違いかと思われますが、どの記事にもベラルーシの話は出てきません。

彼らはインドでは仕事を得られず、仕事を探していたら、インターネットで、6ヶ月の仕事を得られるという誘い文句を信じて、金を作ってロシアへ。彼らは観光ビザで渡航。観光ビザであっても、観光ではありませんでした。これを「観光のため」とする報道はまずいかと。インドの親族が都合の悪いことを伏せたのでしょうが、家を見れば優雅に観光に行くほど裕福ではないことくらいわかるでしょうに。

人によってはロシアで何らかの仕事をしていたようで、違法就労で逮捕されています。また、人によっては、最初から仕事として軍を紹介されたようです。ベラルーシで捕まったのがいたとしても、そこで違法就労したのだと思われます。その場合はインドに送還されるのではないかと思われますが、よくわからん。

つまり、ロシアでは犯罪者は懲役を逃れる代わりに兵士になる選択を与えられることや高給で兵士を募集していることがインド人にも適用されたにすぎません。こういうインド人が100人以上いて、続々戦死しているわけです。パキスタン人も同様でしょう。

エージェントが「観光ビザでいい」と教えたのであれば悪質ですが、観光ビザでオーバーステイして働くのは違法であることくらいわかっているでしょうから、違法就労するつもりでロシアに行った時点で同情はできません。

「演習に参加するという話だったのに、気づいたら前線にいた」といったロシア人の話はさんざん報じられていたのですから、少しは学習しとけ。

戦争をやっているロシアに行けばウクライナの攻撃を受けて死ぬかもしれないわけで、戦地に送られたからって、「騙された」と泣き言言うなよ。と思わないではいられませんでした。

それでもインド政府は自国民を救出する責務がありましょうが、インド政府としても力が入らないんじゃなかろうか。こんなことでロシアに借りを作るのはイヤでしょうしね。政府は国外に出て外貨を稼いで欲しいのでしょうが、「違法就労はするな」と呼びかけるべきです。

✳︎2024年3月7日付「Reuters

 

 

中国に行ったら刺された米人たち

 

vivanon_sentence

時間が経ってしまいましたが、今月10日、中国で米人4人が刺された事件。

 

 

 

next_vivanon

(残り 1392文字/全文: 2879文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

会員の方は、ログインしてください。

« 次の記事
前の記事 »