松沢呉一のビバノン・ライフ

テレビ局とバカッターの共通点—メタ視力で考える炎上-(松沢呉一)

今年は24時間テレビが楽しみ—日テレと大谷翔平の知られざる関係」の続きです。

 

 

日本テレビは24時間マラソンを強行

 

vivanon_sentence

関東では一時の強い雨は収まって、時折、雨が降る程度になってますが、西日本では、なお激しい風雨にさらされている地域が多いですし、まもなく熱帯低気圧に変わりそうでありながら、余談を許さない状態です。

それでも日テレは、批判が強かった市民マラソンや屋外のイベントを中止するだけで、やす子のマラソンは強硬。

昨日午後3時の発表。

 

「24時間テレビ」のサイトより

 

市民マラソンは、やす子と一緒に走るわけでなく、金集めの「騙し」みたいなものであることが批判されてましたから、「この際、やめちまえ」ってところもあるのでしょう。んなこと言ったら、「24時間テレビ」全体が「騙し」みたいなもんなので、やめてしまえばいいのに。

ちなみに私は、見え透いた偽善は好きなので、「24時間テレビ」は好きでした。テレビやタレントが金を儲けていても、現実に億単位の募金が集まることで助かる人たちがいるならいい。しかし、いい給料をもらっているテレビ局の幹部が募金を着服してスロットに注ぎ込んでいたとなったら、誰も容認できなくなります。

 

 

テレビの傲慢さは理解できる

 

vivanon_sentence

私もかつては、テレビの仕事をしていたので、その感覚はわかるのですが、収録や生放送の現場では、お茶の間での見え方はあまり意識されず、会議室やスタジオの閉鎖された空間の中で完結した世界の感覚の方がずっと強い。そのため、「昨日の放送を観たよ」と知り合いに言われると、「なんで観るんだよ」と不思議に思ったり。

とくに私は自分が関わった番組のオンエアを観て反省したり感心したりする趣味がないので、オンエアを観ることがほとんどなく、スタジオとお茶の間が直結しにくかったのだと思います。

もちろん、プロデューサーやディレクターは、視聴率を気にしていて、クレーム対応もしますし、オンエアもチェックしますから、外からの見え方を意識してますが、それでもズレが生じてしまうことは避けられないところがありましょう。

よく言われる「テレビの図々しさ」もこのズレから生じがちです。店や会社、個人をテレビを取り上げる場合に、取材される側は「テレビ様が取り上げてやるんだから」という態度を感じ取って不快になったりするわけですが、結果としてそう受け取られて仕方がないとしても、テレビ側はそんな意識はなくて、ただただ忙しいがためにいい加減になってしまうだけでしょう。

 

 

next_vivanon

(残り 1428文字/全文: 2516文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

会員の方は、ログインしてください。

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ