松沢呉一のビバノン・ライフ

BLACKPINKとLe Sserafimを擁護する—アイドルは口パクをしてもいい-(松沢呉一)

来日公演が危うくなってきたNMIXX(エンミックス)を擁護する—文化と政治を切り分けろ」の続きです。

 

 

BLACKPINKの口パク疑惑

 

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NMIXXに続いてBLACKPINKも擁護しておきます。

BLACKPINKのリサっていうのが、9月11日、ニューヨークで開かれた「2024MTVビデオ・ミュージック・アワード」と「グローバル・シチズン・フェスティバル」に出演した際のパフォーマンスで、口パクをした疑惑で叩かれて、韓国内でも批判が出てましたが、私は「どうでもいい」と思って、その映像さえチェックしませんでした。

だって、アイドルですよ。アイドルには口パクがつきものです。とくにK-POPは口パクを前提として発展してきましたから、いまさら、そんなことを言われてもどうにもならない。

といった方向で擁護するのでなく、リサのファン、BLACKPINKのファン、K-POPのファンの多くは、「いや、口パクなんてしていない」と擁護し、これが音楽ファンを刺激して、ライブ映像の検証もなされ、BTSを筆頭に、ほとんどのK-POPアイドルたちは口パクをやっていることが明らかにされ、もはや隠しきれなくなって、K-POPの関係者もこれを認めるに至ります。

口パクをしていないと言い張っていたリサのファン、BLACKPINKのファン、K-POPのファンは、口パクを見抜けないアホばかり、あるいはわかっていて嘘をついていたことは確定という流れです。

「アイドルは口パクしてもいい」と言った方がはるかに潔いと思うなあ。なんでK-POPアイドルに興味がない私の方がその本質をとらえた的確な擁護をしているんだか。

✴︎2024年10月3日付「The Korea Herald」 写真はBLACKPINKのリサ。彼女の口パクを契機に、K-POPで口パクが当たり前になっている現状と過去の事例を概括し、なぜK-POPでは口パクをせざるを得ないのかまでを説明した好記事。

 

 

Le Sserafimは「口パクで歌が下手」の真偽

 

vivanon_sentenceこの前に、4月20日にカリフォルニア州で開催された「コーチェラ・フェスティバル(コーチェラ・バレー・ミュージック・アンド・アーツ・フェスティバル)」に出演したLe Sserafim(ル・セラフィム)も口パクが指摘されていました、この時は、「歌が下手」と叩かれていたと記憶しているのですが、口パク疑惑も指摘されていたことを上の「The Korea Herald」で知りました。

「歌が下手」と批判されていた時も映像をチェックする気はしませんでした。だって、アイドルですよ。歌が下手でも問題なし。

今回初めて、その映像をチェックしました。

 

 

もっとアップにならないと、口パクかどうか全然わからん。アップになったところで、これだけ人数がいると誰がどのパートを歌っているのかもわからん。大晦日の「第九」演奏会で、千人の合唱団の誰が歌っていて、誰がサボっているのかわからないのと一緒。

別の動画も観たのですが、客の撮った動画を観ると、他の曲では確かに声が出てないと思われるところがあります。でも、あれだけ動いていたら、息が上がりますよ。マラソン選手が走っている途中でうまく歌えないって。

「口パク」かつ「歌が下手」と二重に叩かれたのは矛盾しているようですが、The Korea Herald」にもあるように、昨今は生の声と録音を組み合わせていることがよくあるので、その場合は両立します。今時の録音物は思い切り加工しているので、比較として生のパートが一層下手に聴こえることもありましょう。あるいは、コーチェラでは2日出演していて、1日目に「下手」と言われて、口パクに切り替えたのかも。

どっちもOK。アイドルですから。

 

 

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