深夜目撃した喚く中国人—タクシーに乗った外国人観光客のトラブルは激減したが、今もなお起きている-(松沢呉一)
深夜の叫び
血便を出す数日前のこと。
バイトを終えて、もうちょっとで家に到着する午前3時台、女の怒号が聞こえてきました。そちらを見たら、パトカーが停まっていて、3名の警官が見えました。
15メートルほど離れたところまで近づくと、タクシーの中にいる運転手に対して女が怒っていて、日本語混じりの中国語でギャーギャー叫んでいます。女の後ろには連れの男がいて、こちらも中国人と思われます。台湾語か北京語かまでは聞き取れず。はっきりとはわかりませんが、女は40歳くらいで、男はちょっと上か。
2人ともバッグを持ってなかったですが、すぐ近くにホテルがあるので、そこに泊まっているのでしょう。
私はつながっていないスマホに耳を当て、独り言を言って、たまたまこの場に居合わせてしまったふりをしながら、様子を観察。女は怒鳴るだけでは怒りが収まらない様子で、タクシーのボンネットをバンバン手で叩き、警官と男が制止しました。男は彼女の体を後ろから抱えるようにしてそこから離れ、そのまま遠ざかっていきました。
あんだけ叩けばボンネットが凹み、指輪で傷がついて、器物損壊になり得ましょうが、警官はボンネットを確認することなく、当然、捕まえませんでした。
2人がいなくなったあと、警官は運転手に何か注意をしたようで、運転手はおそらく「オレは悪くない」といった反論をしたと思われます(運転手はずっと車の中だったため、言葉は聞こえず)。運転手は何か紙を見せてます、
「これからもこういうことがあるかもしれないので、気をつけてくださいよ」と警官。
結局、何があったのかわからなかったのですが、警官の言葉から、あの2人は酔ってフラフラ歩いていたらクラクションを鳴らされて激怒したのではなく、客として乗り込んだタクシーの中で気に食わないことがあったのだと思われます。
✴︎2025年1月24日付「Record China」 「タクシー 外国人 トラブル」で検索したら出てきた記事。韓国ではタクシーのぼったくりも多くて、韓国人YouTuberが外国人のふりをしてタクシーに乗ったら、運転手は故障しているとして、メーターを倒さず、通常より高い料金を請求された様子を撮った動画が話題に。油断も隙もないですが、運転手も油断していると晒される時代です。
外国人観光客のトラブルはアプリの普及で激減
ここで思い出したことがあります。数ヶ月前にタクシーに乗った時の運転手との会話です。
私はこう聞きました。
「売り上げはコロナ前に戻りました?」
「場所によりますけど、東京だとコロナ前に少し届かないくらいまでは戻ったんじゃないですか」
コロナ禍で運転手を辞めた人も多いので、タクシーが不足していて、てっきりコロナ前より売上がいいのだと思っていた私には意外な答えでした。
「ふーん、まだ完全には戻ってないんですね。でも、観光客がメチャ増えているじゃないですか」
「だから観光地のタクシーはコロナ前以上でしょうし、東京でも観光客は増えましたけど、コロナで減ったビジネスマンがコロナ前までは戻ってきてない。自宅で仕事をする人が増えたじゃないですか。また職場に出勤するようになった人も多いですが、週に何日かの自宅勤務が残っている会社もあって、その日は飲みに行かないので、その分が減ったんだと思います」
「なるほど」
ここから外国人観光客とのトラブルの話に。
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