ヤマガタ野球通信

鶴岡東、日大山形、山形中央の3強から抜け出すのはどこか? 開幕直前! 高校野球・夏の山形大会展望

今年も甲子園出場をかけた夏の山形大会が7月7日(金)に開幕。栄冠をつかむのはどのチームか? 優勝候補からダークホース、意外な活躍をみせそうなチームまで大会展望をまとめた。前半では全体の展望を、後半は上位3校からどこが抜け出すかを、一歩踏み込んで考えてみたい。

■優勝争いは3校を中心に展開か

今年の山形大会は、混戦気味だった昨年に比べると鶴岡東、日大山形、山形中央の「3強」が頭一つ抜けている印象だ。

甲子園経験のある高橋快、松原憂羽らも健在、ソツのないプレーが光る野球のうまさと選手層の厚さなら春季県大会優勝の鶴岡東。下級生時代から期待されていた大型右腕・菅井颯がついに覚醒、遠藤海星、笹大夏、清野隆之輔ら2年生野手も伸び盛りなのは春、準優勝の日大山形。侍ジャパンU-18代表候補合宿でその名が全国区となった「二刀流」武田陸玖が投打に引っ張り、木村祐葵、渡邊聖翔ら打線にも力がある山形中央。この3強の力は接近している。

全国的な知名度も上がった武田陸玖(山形中央)。投打にチームを牽引する。

3強を追いかけるのは東海大山形と羽黒。東海大山形は多彩や球種を操る左腕・佐藤董哉に低めに決まるストレートに力があり、制球にも優れる右腕・宗和湊斗を中心に投手陣が安定。高橋楓真、物部豪が軸の打線とかみ合えば夏の上位進出可能性は十分。羽黒は長打もある俊足の遊撃手・江﨑仁や2年生の主砲・野口大成、春はリリーフで大車輪だった最速139キロ右腕の山田舞侑など潜在能力を秘める選手の成長次第。秋から期待を受ける右腕・柴﨑優心も奮起すると3強にグッと近づく。怖いのは最速142キロのエースで4番の中圭佑がコンディション不良で春は登板なかった酒田南。勝負強い打撃の桐原幸甫、捕手として守備を引っ張る神原健人ら1年時から試合出場を重ねてきた選手が多く、中が万全ならば一気に優勝戦線に加わる可能性がある。

春季県大会で長距離砲のポテンシャルを見せた野口大成(羽黒)

昨秋ベスト4の山形城北、九里学園の2校も上位候補。ともに強みは打撃力で、上位校からも得点できる力は十分。守りも一定レベルには達している。それだけにカギを握りそうなのは投手陣。ボールの出どころが見えにくい山形城北の大武俊介、九里学園の技巧派・佐藤珠生の両左腕はともにタイミングを合わせにくい投手だが、相手が慣れてくる中盤以降の踏ん張りが問われるだろう。山形城北は春にマウンドに登った外野手兼任の2年生左腕・玉虫輝來が台頭する可能性もある。ベテラン・滝公男監督が鍛える山形学院は、3年生の奮起と伸び盛りの2年生の成長がかみ合うと怖い。

上位校に一泡ふかせるチームを挙げるとすれば、新庄北、米沢興譲館、酒田東の進学校組。新庄北の本職が遊撃手の右アンダースロー・鈴木廉音は上位校も打ちあぐむ緩急差が武器。強豪校にあの手この手で食らいつくチームの姿勢も、何かをやってくれそうな予感がある。米沢興譲館は鈴木瑠騎也・青木誓己の2年生バッテリーを軸に春は山形中央と接戦を演じた。鈴木とエースを争う2年生・加藤陽も力を秘める。丁寧な野球と粘り次第では上位校も意外な苦戦を強いられるかもしれない。酒田東は地区予選で羽黒や酒田南から勝利を挙げている。技巧派左腕の佐藤俊介からボールに力のある遊撃手兼任の2年生右腕・佐藤太誠へのリレーが必勝パターンだ。打線に爆発力のある山形商、まとまりのよい山形工も好チーム。秋春と結果を出せず静かな創学館や新庄東、伝統校の山形南も不気味な存在だ。

と、ここまでが全体の展望。いずれにせよ優勝争いは第1グループの3校が中心になるだろう……なんて妥当な展望だけでは面白みがない。というわけで、後半は一歩踏み込んで第1グループの3校からどこが抜け出すか、組み合わせを加味して予想してみたい。

■山形中央は組み合わせにも恵まれた?

第1グループの3校は「拮抗」という言葉通り、それぞれにそれぞれの強みと弱みがあり、非常に予想が難しい。だが、組み合わせ結果を見て踏ん切りがついた。3校から抜け出すのは……

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