ヤマガタ野球通信

日大山形VS山形中央/日大山形が2年振りの甲子園! 苦しんだ3年生が武田攻略法を見事に実践<2023夏の山形大会・ゲームレポート>

夏の山形大会決勝・山形中央VS日大山形は日大山形が6対4の逆転勝利で2年振り19度目の優勝を飾った。プロ注目の「二刀流」山形中央の武田陸玖は好投したが終盤に集中打を浴びて力尽きた。

■功を奏した日大山形の「武田対策」とは?

先制したのは山形中央。2回表に先頭の4番・中川碧人が二塁打を放ち、5番・戸村良和が送って1死三塁。2死後、7番・石垣史穏が四球を選んで2死一、三塁とすると8番・田村葵里、9番・渡邊秀輔が連打を放って2点を奪った。
一方、日大山形は序盤、武田陸玖に対して走者は出すも要所を抑えられ無得点が続く。初回、2回と出塁した走者が武田の絶妙な牽制で刺されたのも痛かった。4回表に1死二塁から大高海斗がレフト前にタイムリーを放って1点を返すが6回裏に先発の菅井颯が石垣にソロ本塁打を浴びて3対1とリードを広げられるなどなかなか追いつけない。
しかし、7回表、日大山形は2死から大高が四球で出塁すると4番・遠藤海星の三ゴロを石垣が送球エラー。2死一、三塁となると5番・沼澤塁人の代打・小野彰太郎が二遊間を抜く2点タイムリーを放って同点。そこから3連打が飛び出し、この回一挙5点を挙げて6対3と逆転した。その裏、山形中央も1死満塁のチャンスをつくるが内野ゴロの間に挙げた1点に止まり、最終回の攻撃も武田のセンターの頭を越えそうな打球を清野隆之輔がフェンス激突の美技でキャッチ。日大山形がリードを守り切り勝利を収めた。

準決勝ほど調子はよくなかったが粘り強く投げ続けた日大山形・菅井。

粘投の菅井、値千金の同点タイムリーを放った代打・小野、7回裏のピンチで冷静に準備をし、初戦の山形学院戦に続きボテボテの打球を上手く処理したサード・鈴木一慎ら3年生の働きが光ったゲーム。これまで「2年生主体のチーム」とさんざん書いてきたことを詫びたい気持ちになった。なかでも日大山形の「投手」武田攻略を象徴していた3年生が3番を打つ大高だ。試合前、日大山形の荒木準也監督は次のように語っていた。
「打たなければ勝てない。武田投手の対策は伝えています。ただ、1巡目は選手に任せて状態を見たい」
その1巡目を含めた序盤、日大山形は見逃し三振が目立った。ファーストストライクから積極的に打ちに行く打者を好む荒木監督が率いる日大山形にしては珍しく、3ストライク目に手を出す雰囲気さえ見えない。それは日大山形の武田対策の側面でもあった。ゆえに荒木監督も「見逃し三振は気にしなかった」と試合後にコメントしていた。ではその「対策」は何だったのか?

(残り 2481文字/全文: 3600文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

会員の方は、ログインしてください。

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ