ヤマガタ野球通信

日大山形の甲子園初戦を展望! おかやま山陽の実力を地元ライターに聞く

県内最多、19度目の夏の甲子園出場を果たした日大山形は、大会3日目、8月8日(火)の1回戦・第3試合で岡山代表・おかやま山陽と対戦する。県勢初の決勝進出、優勝を目指して戦う日大山形の大事な初戦。その相手、おかやま山陽の実力について中国地方の野球をメインに取材するライター・井上幸太氏に緊急取材。その情報を踏まえてゲームの展望をまとめたい。*おかやま山陽の写真は全て井上氏提供

■監督はともに東北福祉大OB

おかやま山陽は1924年創立の私学。甲子園には2017年夏、2018年春に出場。まだ白星は挙げていない。率いる堤尚彦監督は青年海外協力隊の一員として世界各地で野球指導経験のあるユニークな経歴。おかやま山陽の監督を務めながら東京オリンピックを目指すジンバブエ代表の監督も兼任した。独自に生み出した多彩な練習ドリルで選手を育成。OBには藤井皓哉(ソフトバンク)がいる。
日大山形の荒木準也監督とは東北福祉大の同窓。年齢は同じだが、堤監督が1年遅れて大学に入学した関係で学年は1つ違い。そう考えれば、互いにチームの情報収集はしっかりと行えると考えてよい。

おかやま山陽は、昨秋の岡山県大会で優勝。中国大会にも進出するなどもともと評価の高いチームだった。
「今年のおかやま山陽は、スペシャルな選手はいないが平均値は高い。控えの選手が出場してもあまりレベルは変わらない印象です。中心選手の遊撃手、渡辺颯人もパッと見、凄みのようなものはないのですが、試合になると良さがわかるタイプの選手ですね」(井上氏・以下同)

攻守におかやま山陽を引っ張る3番・ショートの渡辺颯人(3年)。小技も長打もある。

■おかやま山陽投手陣には十分、対応可能か

そんなチームを、ある意味、象徴しているのが投手陣。秋の主力投手は精神力に長ける井川駿と速球が武器の西野彰人という2人の3年生右腕投手だった。しかし、今夏は西野の出番が減り、替わりに2年生右腕の三宅一誠、三浦尊神が台頭。岡山大会は井川、三宅、三浦の3人が、ほぼ均等のイニングを投げた。
「もともと2年生は体格の大きい選手が多く、将来が期待されていました。彼らが意図せず早く成長して戦力になったという状況ですね。井川はハートの強さ、三浦は馬力、三宅は長身ですがうまくかわす投球が持ち味です。ただ、3人とも140キロ近いボールを投げるオーソドックスな好投手ですが、甲子園レベルでは際だった特長があるかといえば、現状ではそうでもない。枚数の多さも含めて悪くはないが相手を完全に封じ込められる投手陣ではないと思います」
長打もある1番・清野隆之輔、しぶとさもある3番・大高海斗、ポテンシャルの高い遠藤海星ら日大山形の打線は甲子園レベルで考えても見劣りはしない。それなりの得点は望めそうではある。気になるのは先発投手だが……。

(残り 1995文字/全文: 3225文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

会員の方は、ログインしてください。

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ