甲子園決勝の日に、米沢工の左腕・鈴木誠を思い出す
私が高校1年生の夏、所属していた野球部が山形県大会の決勝に進出した。甲子園出場を夢見て入部した私は、スタンドの応援部隊ではあったが「もう夢が叶うかも」と興奮していた。先輩たちはそれくらい強かった。
だが、その夢は無残にも打ち砕かれた。
■「置賜の悲願」を叶えた米沢工
決勝の相手は米沢工だった。
「置賜から初の甲子園」という悲願を目の前にした相手スタンドの応援団の熱気はとんでもなかった。
そして何より、準々決勝でノーヒットノーランを達成していた2年生の左腕エース・鈴木誠のカーブが冴え渡っていた。まさに「2階から落ちてくるような」落差のあるカーブが膝元にビシバシ決まる。先輩たちのバットはクルクルと空を切った。結局、1対4で私の高校は敗れ、10年ぶりの甲子園は夢と消えた。
そして甲子園。米沢工の初戦の相手は福岡代表の柳川になった。
私はこの試合を見ていない。新チームがスタートして、厳しい「夏練」の真っ最中。昼間はグラウンドで死にそうになっていたのである。
米沢工が1対6で敗戦したことは帰宅後のニュースで知った。
その映像に私は衝撃を受けた。
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