『マスカレード・ナイト』 キムタクのヤマカン推理となんでも知ってる小日向文世のおかげですべてが解決。東野圭吾って日本でいちばん売れてる推理作家じゃなかったのか……
→公式サイトより
監督 鈴木雅之
原作 東野圭吾
脚本 岡田道尚
撮影 江原祥二
衣装デザイン 黒澤和子
音楽 佐藤直紀
出演 木村拓哉、長澤まさみ、小日向文世、梶原善、泉澤祐希、東根作寿英、石川恋、中村アン、田中みな実、石黒賢、沢村一樹、勝村政信、木村佳乃、凰稀かなめ、麻生久美子、高岡早紀、博多華丸、鶴見辰吾、篠井英介、石橋凌、渡部篤郎
またやってきたキムタク&マチャミのホテルマン探偵、『マスカレード・ホテル』に続くシリーズ第二弾! いろいろ衝撃的だった前作だが、何より凄かったのはキムタクのヤマカン推理となんでも知ってる小日向文世のおかげですべてが解決してしまう底抜けミステリー。東野圭吾って日本でいちばん売れてる推理作家じゃなかったのか……と頭を抱えていたのだがそんなのは序の口だった! 本作では警察はほぼ「~かもしれない」「~の可能性がある」だけですべての捜査を遂行、プライバシー侵害も個人情報保護も知ったこっちゃないという無法ぶり。日本の警察の横暴ぶりを風刺するとは、東野圭吾もやるな……じゃなくって、こんな適当な話あるかっつーの! まあこの適当な推理と、例によって一言訊ねただけであらゆる情報を持ってくる小日向の「おまえ犯人じゃないのにこんなネタ知ってるわけ無いだろ」的最強データマンっぷりによって事件は解決するのだが、何がすごいってすべてが状況証拠、いや状況証拠ですらない推測だけなのに、それを突きつけられた犯人たちが「そのとおりですすべてわたしがやりました……」と自白をはじめるのには三度びっくり。これ、犯人が知りません!って突っぱねればすべて証拠不十分で起訴すらできないよ。これが日本の人質司法の風刺であるならば……いや、本当にそうであればどれだけよかったか。
映画がはじまるといきなり練馬区の独身女性殺害事件の捜査本部。「マンションで女性が死んでいるかもしれない」との匿名の通報を受け、該当の住所を訪れるとロリータ服を着て感電死しているペットショップ勤務の娘の死体が発見されたのだった。彼女は妊娠していた。怨恨や痴情のもつれといった事情もなく、指紋その他侵入の証拠も一切ない。迷宮入りかと思われた捜査本部に、今度は匿名のFAXで「大晦日にホテル・コルテシア・トーキョーで開かれる年越し仮面パーティに練馬区独身女性殺害事件の犯人が出席する」との告発が届く。ホテル・コルテシアと言えば、そう、あの男の出番だな!
そのころ、当の「あの男」はダンス教師(中村アン)とタンゴを踊っていた。これ、捜査本部での設定の説明と、キムタクのダンスがカットバックされるという謎仕様。この映画の観客は、わずか一分でもキムタクの顔が映ってないと退屈してしまうのかと思わずにいられない。それにしてもこの警察、匿名FAXの密告を信じて、練馬の女性とまったく無関係なホテルに乗り込み、やれ宿泊客の荷物をひっくりかえし、顔を盗撮して(なんとロビーに張り込んでいる刑事がいちいちスマホで盗撮するという一般宿泊客さえ怪しむ雑な捜査)検索にかけて練馬の事件との関連を調べるという適当さ。で、「すべての人の仮面をはぐ」警察と「客の仮面を大事にする」ホテルマンの対立とかいうんだけど、そもそもこんな捜査、人権侵害だろうが!「お客様を大事に」と抗議してるホテルも、まさか匿名の通報一本だけでここまでやられてるとは思うまい。俺がホテル支配人(石橋凌)だったらブチギレ案件ですよ。
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