『みちのく秋田 赤い靴の女の子』 物悲しい赤い靴の少女の童謡の実話があった……という触れ込みで作られた秋田映画。しかし、童謡は実は映画に全然関係ない!
→公式サイトより
『みちのく秋田 赤い靴の女の子』
監督・脚本 石谷洋子
主題歌 Yummi
出演 安田聖愛、アナンダ・ジェイコブズ、壇蜜、永島敏行、小栗銀太郎、渡辺佑太朗、Yummi、秋沢健太朗、松本寛也
♪赤い靴、履いてた、女の子。異人さんに、連れられて、いっちゃった~
異国に売られていく少女を歌った物悲しいメロディ。野口雨情作詞のこの曲、横浜か神戸か、そんな港町の歌かと思いきや、実は雨情が秋田県に滞在中に書いたのだという。そう、秋田には雨情が書いたような、物悲しい赤い靴の少女の実話があったのである……という触れ込みで作られた秋田映画。そして秋田といえばこの人壇蜜が堂々の出演、秋田映画の看板に偽りなしというところを見せてくれたのだが、問題は「赤い靴の女の子」のほうで、この童謡、実は映画に全然関係ない! ていうかこの実話が野口雨情をインスパイアしたというのが本当かどうかすら、映画を見るだけではわからない! そして一枚看板の壇蜜もあまり映画のためにはなっていないような……ていうか壇蜜の役自体まるごと映画からカットしてしまってもいいような……壇蜜と言えば不幸が似合う女ということになっているわけだが、実のところ、そういう決めつけは彼女のためにもなってないんじゃないか、と思わざるを得なかった。
物語のはじまりは明治19年。船大工、金子専蔵(小栗銀太郎)の後妻にはいったふじ(壇蜜)は、今日も今日とて姑からいじめられていた。幼いころ、口減らしのために奉公に出されたふじだったが、真面目な働きぶりで主人(永島敏行)からも気に入られている。専蔵との縁談に主人は大喜びだが、その妻(Yummi)はあんな家に行ったら苦労すると猛烈な秋田弁でまくしたてる。壇蜜ももちろん秋田弁丸出しの熱演で、ここらへん、非秋田人にとっては何を言ってるのかまったく意味不明のやりとりが続くのだが、リズムよくコミカルな応酬はたいへん楽しい。実は本作の監督、深刻なシーンよりも笑わせる演出のほうがうまいようで、実際壇蜜も大いに楽しんでやっているように見える。監督、こんなドシリアスで真っ暗な映画よりは秋田弁コメディのほうが向いてる気がするんで、ぜひご検討願いたい。
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